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BeLoved.
第38章 【罪と罰。1】
『他人に触るのも触られるのも好きじゃない』
以前彼本人が放った言葉。…それはつまり
『他人から触れられることに慣れていない』
…ということでもあるはずだ。
「っ、ん!」
「……」
しかもこんな、唇でなんて。経験は…無くはないかもしれないけど。かくしてわたしの予想を肯定するかのように、彼の体躯は強張った。
…緊張してる。予想つかなかったのかな?そこまで考え無しな人じゃないはずだけど…。
そんなことをぼんやり考えていたら、いつかの羅々さまの言葉が思い出された。
『坊やたち、未結ちゃんがいたら我慢できないから。まともじゃいられないのよ』
──こんなん未結にしか言わねーよ──
……ああ、"そういうこと"か……
「…っつ、着けた…っ?」
肩で荒く息をしながらの問いかけ。…どうやら呼吸すら止めていたらしい…。ふと我に帰った眼下。彼が自ら指し示した鎖骨の下に、わたしが刻み付けた痕がぽつんと残っていた。
「思ったよりゾワッとすんな、これ」
苦笑の中に安堵の色を滲ませながら、ワイシャツを着直そうとする彼。その手をそっと止めた。だって、誰も終わりなんて言ってない。
「…未結?」
「見えない所ならいいんですよね」
ああ、今のわたし。たぶん…笑顔。それもかなり意地悪で…『愉しんで』いる、悪い笑顔。
「もっと着けたいです」
「…は?…あ?!」
「言い出したの、流星さまですよ」
今度はわたしが、大義名分を引っ提げて。半ば強引にはだけさせたシャツの下。胸元に潜り込んだ。
「やめ…、未結?!」
「……」
動揺と困惑が入り交じった声。力では到底叶わない。だから押し返されるより早く肌に口付けた。そしてしなやかな肌に夢中で痕を残していく。いつも彼がするみたいに。──そう、全部『わたしのもの』だって。
「〰️未結!」
「ひたっ!」
ぺちんっ、とおでこに平手を喰らって。
「俺がやめろっつったらやめろって」
「…ごめんなさい」
けして強い力ではなかったけど、今のわたしには良い気付けになった。見れば彼の上半身は…紅い斑点だらけだった…恥ずかしい。
「今日ゴムねーんだから。あんま煽んな」
「うぇっ?!」
「言ったろ。しない、って」
意外すぎる言葉にあげてしまった間抜けな声。
…ほら、耐えられないのはわたしの方だった。