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BeLoved.
第38章 【罪と罰。1】
「あ、忘れてた」
一悶着(?)あったベッドルームを後にし、荷物を広げたままのリビングに戻った矢先。流星さまは呟いた。
「俺おまえとプール行くつもりだったのよ」
「……あ!だから"水着用意しろ"って…」
それは今朝のこと。突然「泊まりで出掛けるから準備しろ」と言われてからの「あ、水着もな」。
訳がわからぬまま従ったけど、まさかこんな状況になるとは夢にも思わなかった。
彼曰く、ここの30階には宿泊客専用のスパとフィットネスが完備されているらしい。夕食前にそこに連れていってくれるそうなのだ。
「…うーわっ、おまえ何それ。スク水じゃん」
「だだだって水着、これしか持ってなくて…」
「萎えるわー。今度麗になんか見繕わせろよ」
揃って床に座り込んで、やいやい言い合いながら仕度して…って!ち、ちょっと待って?!
「っは、肌!裸!!今!駄目ですよね?!」
「は?何言ってんのおまえ」
刻み付けて…刻み付けられた、所有の証。
でもそれはあくまで『服で隠れる』場所にだ。
水着では、首筋に鎖骨…何より一番恥ずかしい両足の内側なんかも丸見えになってしまう。…まして上半身剥き出しの彼に至っては…
「俺別に気にしねーよ?」
「お願いします気にして下さいいぃ!」
安定のケロリとした返答。もちろん気を遣っているわけではない。彼は普段の彼そのもの。取り乱しているのはやっぱりわたしだけだ。
「あー、じゃ貸し切ればいんじゃね?」
「いやいやいやいやいいですから!!」
ちょっと待ってろ、とフロントへ繋がる電話器を取ろうとした彼の手を慌てて止めた。余計なお金使わないで下さい…。
…本当に、この人といると退屈しない。いつだって何処から何が飛んでくるか予想がつかなくて、ハラハラさせられっぱなし。
「……もうっ」
──でも。やっぱり……すごく楽しい。
ほら、いつの間にかわたし、笑ってる。
いつでもマイペースなところ。それが彼の短所であり長所。わたしが好きになったところ。改めて思った。
わたし、この人が大好きだって。