この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
BeLoved.
第38章 【罪と罰。1】
あっという間に迎えたチェックアウト。昨日は結局お部屋で過ごすに至り…図らずも、わたしにとってはいちばん贅沢で幸せな『二人きり』をこれ以上ないほど堪能できた、夢のような時間だった。
──────
リビングルームの大きなソファに、並んで腰掛けてくっついて。陽の傾きと共に刻々と変化していく街の様子を眼下に眺めながら、館内レストランからルームサービスで届いたディナー(飲物はもちろんワインやシャンパンではなく彼もわたしもソフトドリンク)を頂いて。
料理の本から飛び出してきたような盛り付け、宝石みたいなデザート…目でも十二分に楽しめるそのお味は言わずもがな。脂が乗っているのにしつこくないお肉やお魚、瑞々しい野菜、パリッパリの揚げ物。一口一口夢見心地だった。
お食事のあとは壁掛けの(これまた大きい)テレビで映画鑑賞。「なんでもいーよ」のお言葉に甘え、前から見てみたかった恋愛ものを選んだけど。やっぱり彼には退屈だったようで…
「未結ー、煙草吸いたい」
「…ん!…もうっ!」
時折やってくるキスと、ちょっかい。でもそれもまた楽しくて。…そのキスがだんだん、深くなっていくのも。
「…、ぁ…ん…」
「…煽んなって」
映画の後のお風呂でも。早々に潜り込んだベッドでも。──今日はしない──それを破ってしまいそうになる瞬間は、正直、何度もあった。お互いに。
彼がわたしを求めているように、わたしも彼を求めてる。
『我慢できないのよ』それは彼らだけじゃなく──わたしもなんだって、思い知らされて。
避妊具なんていざとなったらすぐ手に入るだろうに。しないのは飽く迄も『わたしのため』だ。なのに当のわたしが破ってどうするの。
「側にいてくれんだろ?」
「…。はいっ」
体の繋がりはなくとも。同じものを食べて同じものを見て、同じ時間を同じ空間で過ごして。それだけでも…ううん、それってとても幸せなことなんだ。
柔らかな寝具の中、彼の温もりに包まれて。
久々にゆっくり眠れた気がした。