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BeLoved.
第43章 【彼の根底にあるもの。1】
「っ、はい」
呼び止められ振り返る。やっぱり食べるのかな?それともまたすぐ出て行くのかな?しかしどちらも違った。
「おまえさ、この後なんか予定ある?」
「?え…と、お風呂掃除をします…けど」
「それだけか?じゃーそれ、麗にやらしときゃいーからちょっと付き合え。10分後に玄関集合な」
「え!?」
そう言い残すと、彼はさっさと自室に引っ込んだ。
な…なんてマイペースなの…いつものことだけど…。
与えられた10分の猶予。さすがに麗さまにやらせるわけにはいかない!お風呂掃除は速攻で終わらせた。給湯の予約を済ませ、再び廊下に出てみれば…まだ時間はあるにも関わらず、流星さまの姿は既に玄関。
私服に着替え、腕組みして下駄箱に凭れている。そしてわたしに気づいて一言。
「あ、俺のこと気にしなくていーから」
…ご主人さまを待たせて平気な家政婦なんていません!
慌てて自室に飛び込み、エプロンを外しながらクローゼットを開けた。急がなきゃ!
「そのままでいーぞー。変な所行く訳じゃねーから」
玄関から暢気な声がかかるけど、『おでかけ』に変わりはない。以前のホテルみたいなことになるのは嫌だ。それなりの格好をしなければ!
そう思い、選んだワンピースに大急ぎで着替えた。これは自分で気に入って買ったもの。紺色だし、丈も膝の少し上だし、デザイン自体も前開きのボタン留めで控えめ。…うん。これなら何処へ行っても大丈夫よね!
鏡の前で襟と髪をササッと整え、駆け足で玄関へと向かった。
「お、お待たせしてすみません!」
肩で息をするわたしを見て、流星さまは一言。
「俺もっとミニがいーな」
「!!」
「もーいーんだよな?行くぞ」
そしてさも当たり前のように手を繋がれ、外に出た。
釈然としない気持ちはその温もりで消化されていくのを感じながら。彼の愛車に乗りこんだのだった。
「どこに…行くんですか?」
「俺んち」
「…それって…」
「実家」