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BeLoved.
第45章 【彼女の根底にあるもの。】
「うん、そうだね」
朝。ご主人様のひとりからは、淡白な声が返ってきた。
「麗さまわたし、そんな…」
「ずっと一緒にいるつもりだし、未結もそう言ってくれたけど…こればっかりは分からないから」
「……」
「心配しないでね。どうなったとしても、後のこと任せられる奴、いま育ててるから」
──後のこと。彼の口調は至って平静で、普段通りで、わたしを気遣うものだった。でも…『後』ってなに?
この暮らしを始めて、一年。
嘘みたいな、本当の暮らし。
『いつまでこのままでいていいの』──その不安は、一緒に過ごす時間が長くなればなるほど、愛されれば愛されるほど色濃くなっていく。
『いつまでこのままでいられるの』って。
「未結ちゃんが俺のこと 朝比奈麗 にしてくれれば、なんの心配もないんだけどね」
「あ…」
そう言って彼は微笑んだ。…少し、淋しそうに。
わかってる。こんな暮らし、永くは続かない。
でも、彼らは自分からは終わらせない。
『わたし』が『終わらせる』のを待ってる。
「ねぇ…ごめんね、もう食べていい?」
「!ごめんなさい…」
だけど…ご飯を目の前にしてする話じゃなかった。