この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
BeLoved.
第45章 【彼女の根底にあるもの。】
それでも、時間は過ぎていく。彼らは変わらず激務、不規則、重責。わたしも家政婦業をこなしていく毎日。
「──で、散々こっちのやり方パクッといて"うまくない"ってよ。俺もナメられたもんだろ」
「パクるしか能ねーんだろ。んなアホほっとけよ、麗」
わたしには分からないお仕事の話をしたり(それにしてもふたりとも目が怖い…)。
「おいボンクラ」
「あー?なんか用かヘタレ」
時折じゃれあい(?)があったり (今更だけど『ボンクラ』と『ヘタレ』で会話が成立しちゃうんだもんなぁ…慣れを通り越してもう麻痺してるのかもしれない)。──かと思えば
「未結、おいで」
「ぁ…、ん」
不意に訪れる甘い時間に、心も体も酔い痴れたり。──とにかく、いろんなことが起きる目まぐるしい日々。大変なことも多いけど、楽しくて、幸せで。
『いつまでこのままで』──その不安も、葛藤も、だんだん薄れていく気すらしていた、そんなある日だった。
──────────
「ぁ…はい、わかりました」
その着信を受けたのは、夕食の仕度を終えた頃。相手は流星さまで、急用のため帰宅できないとのことだった。
早々に切られた通話。繁忙期は過ぎたと思ったけど…ううん、わたしが知らないだけで、やらなければならないことは山のようにあるはずだものね。
「、メール…」
そう思いながら閉じようとした携帯の画面に、新着メール通知があるのに気付く。差出人は麗さまで、内容は流星さまと同じ。帰宅できないのを知らせるものだった。
『お疲れ様です、お夕飯はとっておきますね』そんな感じの返信をして、今度こそ携帯を閉じた。
「…ひとりかぁ…」
ひとりの夜なんて、本当に久しぶり。特別淋しいとも感じないけど、思ったほどわくわく(?)もしない。
作り終えていた彼らの夕食はきちんと仕舞い、自分の分にはありついて。普段通り片付けも明日の仕度も終え、お風呂へと向かった。