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BeLoved.
第45章 【彼女の根底にあるもの。】
「やべーの。いきなり目ぇ醒めたわ。俺今、すげー冷静」
わたしも、凍りつきそうなくらい冷静です、流星さま。
「恋は盲目とはよく言ったもんだよな。俺も目が醒めた」
いえ、わたしは視界が霞んでよく見えません、麗さま。
『終わりにする』その言葉だけが全身に沁みていく。
「俺初めてだもん、自分以上に冷酷だと思った女。天秤掛けられて、俺らよくここまで耐えたよな、流星」
「それな、麗。俺自分がこんなドMとは思わなかったわ」
────あれ?声ってどうやって出すんだっけ。
それ以前に、呼吸ってどうやってするんだっけ。
苦しい。ドアノブにかけた手の指先まで、固まってしまったように動かせない。
なのに頭だけは怖いくらいハッキリと冴えていて、彼らの言葉を次々と焼き付けていく。
「今あいつの口座に振り込んであんの、そのまんま手切れ金ってことでいーよな?麗」
「口止め料込みでも上等だろ。…ま、探す身内もいねぇし、売り飛ばしてもいいけどね」
心臓の鼓動って、こんなに速かった?こんなに響いた?
体は固まったままなのに、どうしてこんなに震えるの。
「うーわっ、麗くんひでー。あんなベタ惚れだったのに」
「もういらねぇもん。テメーもだろ」
「まーな。俺ももういらねーわ」
──強くて、強引で、やさしくて
常に自分の道を歩んでいる彼らは。
わたしを好きだと言ってくれて
わたしを『特別』にしてくれた。
──だけど本当は『怖い』人たち。
いらないものはすぐに捨て去る
いらなくなったらあっさり切る
どんな時でも全ての基準は自分。
それが彼らだ。
誰が決めた?
『わたし』が『いらないもの』になることはないって。