この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
BeLoved.
第45章 【彼女の根底にあるもの。】
「〰〰〰もうっ!…恥ずかしいなぁっ」
──さて、今わたしが居るのは台所。作業台に置いた保存容器に、糠床を作っている真っ最中だ。
やり場のない疚しさを掌に込め、柔らかい糠に打ち付けた。
夢にうなされて、不安と淋しさに駆られて。言うならば正気じゃなかったとはいえ、わたしがベッドでしたことは、オナ……〰〰その……それでしかない。
冷静になるにつれて猛烈に恥ずかしくなって。
もし、こんなところを彼らに見られたら?そうでなくても、何かの拍子で勘づかれたら?〰〰ああ、想像しただけで恥ずかしくて死にそう。
そんなこんなでベッドを抜け出し、今夜二回目のお風呂に入り、全身を綺麗にしたんだ。…嫌な記憶も、泡と一緒に洗い流すように。
体はきれいになった。新しい下着と寝間着にも着替えた。念のため(?)に洗った髪も、乾かし終えた。
その時点で、午前3時。少しでも寝ないと……とは思ったものの、とても無理で。
じっとしていたらまた思い出してしまう。昔のこと。だけど今は深夜。騒がずに気を紛らわせるのに、糠床作りはもってこいだった。…無心になれる。
……。
早く帰ってこないかな…。
──もう無理なんだけど──
──じゃ、終わりにするか─
『正夢』になんかならないよね。
──生きてればいい──
──離さないからね──
信じていいよね。
だって、わたしは───
その時だった。
「、あ…」
玄関から響いたドアの開閉音。
こちらに向かってくる足音と、声が…ふたつ。
「なー麗なー、俺思うんだけど、あのねーちゃん等みてーなデカい胸って邪魔じゃねーのかね」
「お前股の間にぶら下がってるもん邪魔だと思ったことねぇだろ。それと一緒だ」
そして…相変わらずのやり取り。
でも、今はそれがなにより嬉しくて……愛しくて。
糠まみれの手を拭うのも忘れ、飛び出したのだった。
「おかえりなさい!」