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BeLoved.
第45章 【彼女の根底にあるもの。】

「〰〰〰もうっ!…恥ずかしいなぁっ」

──さて、今わたしが居るのは台所。作業台に置いた保存容器に、糠床を作っている真っ最中だ。

やり場のない疚しさを掌に込め、柔らかい糠に打ち付けた。
夢にうなされて、不安と淋しさに駆られて。言うならば正気じゃなかったとはいえ、わたしがベッドでしたことは、オナ……〰〰その……それでしかない。

冷静になるにつれて猛烈に恥ずかしくなって。
もし、こんなところを彼らに見られたら?そうでなくても、何かの拍子で勘づかれたら?〰〰ああ、想像しただけで恥ずかしくて死にそう。

そんなこんなでベッドを抜け出し、今夜二回目のお風呂に入り、全身を綺麗にしたんだ。…嫌な記憶も、泡と一緒に洗い流すように。

体はきれいになった。新しい下着と寝間着にも着替えた。念のため(?)に洗った髪も、乾かし終えた。
その時点で、午前3時。少しでも寝ないと……とは思ったものの、とても無理で。

じっとしていたらまた思い出してしまう。昔のこと。だけど今は深夜。騒がずに気を紛らわせるのに、糠床作りはもってこいだった。…無心になれる。

……。


早く帰ってこないかな…。


──もう無理なんだけど──
──じゃ、終わりにするか─


『正夢』になんかならないよね。


──生きてればいい──
──離さないからね──


信じていいよね。


だって、わたしは───


その時だった。


「、あ…」

玄関から響いたドアの開閉音。
こちらに向かってくる足音と、声が…ふたつ。

「なー麗なー、俺思うんだけど、あのねーちゃん等みてーなデカい胸って邪魔じゃねーのかね」
「お前股の間にぶら下がってるもん邪魔だと思ったことねぇだろ。それと一緒だ」

そして…相変わらずのやり取り。
でも、今はそれがなにより嬉しくて……愛しくて。

糠まみれの手を拭うのも忘れ、飛び出したのだった。

「おかえりなさい!」
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