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BeLoved.
第45章 【彼女の根底にあるもの。】
「っ、起きてたの?!」
彼らからしてみたら、まるでお化け屋敷で曲がり角から突然おばけが現れたような感じ…だったかもしれない。
揃って一瞬だけ驚いた表情をされたけど、すぐに安堵の笑顔になって。待ち焦がれていた言葉をくれた。
「ただいま、未結」
帰ってきた。帰ってきた。
わたしの大好きな貴方たち。
「待っててくれたの?寝ててよかったのに…」
「バカた麗。俺に会いたかったんだよ未結は。なー」
──強くて、強引で、やさしくて
常に自分の道を生きている彼らは。
わたしを好きだと言ってくれた。
わたしを『特別』にしてくれた。
「…つーか…未結おまえ、このにおい、何?」
「その手…まさか、糠?こんな時間にかき混ぜてたの?」
どうしてこんなに好きになってしまった?
こんなに怖くて、住む世界が違う人たち。
そんなのもう、わかってる。
この人たちは、わたしを『最愛』にしてくれたから。
「聞いてる?おー…い?!」
「未結ちゃ… ん!?」
対峙したきり無反応で、しかも俯いてしまったわたしの顔を、彼らは訝しみながら覗き込んだ。すると途端にその表情は驚いたものに変わった。
わたしがボロボロ泣いていたから。
「どうしたの?流星がまた何かした?」
「あ“ぁ?!何でそこで俺が出てくんだよ」
「諸悪の根源は大抵テメーだろボンクラ」
「とどめ刺すのはいつもお前だろヘタ麗」
「ひ、ひがふんれふ…っ、わらひ…っ」
喉の奥が熱い。鼻の奥が痛い。『違う』と言いたいのに呂律が回らない。せめて溢れ出る涙と鼻水だけは何とかしたくて、両手は糠だらけなのも厭わず顔中を乱暴に拭った…ら。
「いやいやいや」
「何やってるの」
片手をそれぞれに取られ外された。わたしの大好きな手で。自分たちが汚れるのも厭わず、やさしく、包み込むように。
「……う〰〰…っ、あ“っ…、…え“ぇっ……っ」
「泣いてちゃ分かんねーって…」
「ほんとどうしたの…、未結…」
心配を通り越し呆れられてしまっても、止めることなんてできなくて、ただただ溢れさせた。涙も鼻水も……切なさも、愛おしさも。