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BeLoved.
第10章 【Master Bedroom. 2】
ふと見ると、怪我とは関係ないはずの中指や、薬指にも舌は絡み付いていた。
指と指の間にも、丁寧に熱は這っていく。愛おしむように。
忍び寄ってきた何かは確実に色濃くなり、広がりを増している。自分では触れることができない、わたしの中の奥底で。
「…は…っ、ぅ…ん…」
吐く息がだんだん熱を帯びていく。
甘さが滲む声も漏らしそうになる。
握り拳を口元に押さえつけ堪えた。
指先は既に血が止まり、穢れも綺麗になっていた。残されたのは2㎝程度の傷。唇を離した彼は、それを見て眉間を寄せる。
「傷つけないでね」
「あ…」
そう言って彼は顔をわたしに向けた。
切れ長の目がまっすぐわたしを見る。
「未結は俺のなんだから」
その瞳と言葉が突き付ける彼の真意。
触れなくても抱かなくても
自分の日に自分が不在でも
『彼』に、抱かれていても
わたしの全ては自分のもの。
彼の瞳は、そう言っていた。
「……」
わたしの奥底が切なく締め付けられる。
流星さまといるときとはまた違う感覚。
…なんだろう、これは…
「返事して」
「…!は、はぃ…っ…」
我に帰り何度も何度も頷いたわたしを一瞥し、麗さまは短く「約束だよ」と呟いた。
そして今一度、傷にキスを落としたのだった。