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第16章 【世界はそれを俺様と呼ぶんだぜ】
「まあ確かに免許自体はあった方が便利だよね、未結。身分証としては最たる物だし」
そういう意味でも欲しいんだよね、とあくまでもわたしの気持ちを汲んでくれようとする麗さま。片や流星さまは頑として己の意見を曲げなかった。
「だから未結みてーなトロい奴には無理なんだって!何の為のマイナ○バーカードだよ!あれ持て!」
「流星お前あんなもん本気で持たす気か?」
再び彼らの空気が険悪になってしまった。先にも勝る勢いで言い争いが再開してしまう。
「俺は未結に公共交通機関使わせたくねぇんだけど。流星お前、俺でも痴漢されんだぞ。未結なんてもう餌食だろ」
「タクシー乗せりゃいーだろ!つーか運転手付きで車用意してやるよ!…とにかく未結、免許の話は無しな!」
投げつけられた最後通告。だけど『トロい』『抜けてる』『無理』頭ごなしに何度も言われ、ご主人様といえどもさすがのわたしも頭に来てしまった。…今にして思えばそれは、思い上がり以外の何者でもなかったのだけど。
「、でも…!」
「『でも』じゃねーんだよ!」
わたしが上げた抗議の声は、流星さまの怒号と、彼が掌をダイニングテーブルに叩きつけた音により一瞬で掻き消された。
「未結いいか?!お れ が駄目っつったら駄目なんだよ!」
「……」
「おまえ家政婦が勘違いすんなよ?弁えろ!」
「!」
流星さまは明朗快活で嘘がつけなくて
わたしの事をとても大切にしてくれる。
触れてくれて求めてくれて抱いてくれて
いつも…「愛してるよ」と伝えてくれる。
それがとても心地がよかった。
それにとても浸りきっていた。
わきまえろ。
彼のその言葉は、わたしの胸を
稲妻のように打ち抜いたのだった。