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BeLoved.
第19章 【彼女がその日の彼。1】
「…ありがとうございました…」
「…ただいま。起きてたんだ」
30分もかからず麗さまは帰ってきてくれた。
いっそのこと眠ってしまえれば楽だったんだろうけど…叶わなかった。布団から顔を出し、お礼を言う。暗闇に慣れた目には、彼の片手にある小さな紙袋がすぐ見てとれた。胸が痛い…。
ゆっくり上体を起こし、ベッドから降りる。麗さまはそこでも手を貸してくれた。
「冷蔵庫にプリン入ってるから、いつでも食べてね」
「…すみません、何から何まで…」
「あとこれね。念のため。未結にはこれが合うと思う」
紙袋と共に手渡されたのは鎮痛剤の箱。…驚いた。彼はすぐ側のコンビニではなく、少し離れたドラッグストアまで行ってくれていたのだ。
「何かあったら相談して。俺これでも薬剤師の資格持ってるから」
「え!?そうなんですかっ!?」
初めて知らされた事実に驚愕するわたしとは真逆に、彼は平静なまま。
シャワーを浴びるかと尋ねられたけど、今はとてもそんな気力はない。首を横に振った。
紙袋を手に、部屋を出たわたしが向かう先はトイレ。
麗さまは気を使ってくれて、着いてこようとはしなかった。用を済ませたあと、残った分は帰り際に立ち寄った自室のクローゼットに仕舞い込んだ。
――――――――――
「早かったね」
部屋に戻ると、麗さまはベッドに横たわっていた。構っていたスマホは脇に置かれる。
おいでと促されるままわたしも隣に横になった。
「そっち向いて」
その言葉に従い、彼に背を向ける態勢になった。大きな手が下腹部にそっと添えられる。…あったかい。どこまでも気遣ってくれるんだ…。
「おやすみ」
こめかみに落とされた、優しいキス。…ああもう駄目。優しさに耐えきれない。
その手に自分の手を重ね、寝返りをうとうとしたけれど密着しているため叶わず、首だけを彼の方に見上げさせた。