この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
LaundryHeavenly.
第13章 Heavenly.13

「…レノと2人にしてくれ、ハイジ」

彼は組んでいた足を解くと静かに命じた。
「ナノさん」ではなく「ハイジさん」に。

それが意味するもの。さすがと言うべきか
命じられたハイジさんは瞬時に察し取った。

「りょーかい。ホラおぼっちゃま!行くよ」

手にしていたタオルをブライトさんに渡すと
ハイジさんは立ち上がりナノさんに向かって
声をかけた。頭を掻き、面倒臭そうな口調で。

「…自分は姉さんと」
「…く…ぅ…っ」

私の上体に回された彼の両腕に力がこもる。
その強さに苦痛の声を漏らすと同時だった。

「うるさいよ」

死角で聞こえた、シュッと空気が切れる音。
ナノさんの腕…いや全身から力が抜け
まるで私におぶさるように倒れ込む。

気絶した。否『気絶させられた』のだ。

「っとに、この子はね。手がかかって」

ごめんね、と普段通りの口調で言いながら
ハイジさんはナノさんの首根っこを掴んだ。

そして自分より上背のある彼を軽々抱き上げ
肩に担いでしまう。体勢を良い様に整えつつ
ハイジさんは思いもよらない言葉を口にした。

「ウチの弟そっくり」

大声ではなかったけどはっきり聞こえた。
それはブライトさんも同じだったようで
彼は私以上に驚いた表情を浮かべている。

そんな私達を尻目にハイジさんは続けた。

「言ったじゃないレノちゃん。ナノは弟の面影があるって。ウチのも、いつも大人しい癖に変なとこ頑固でさ。見てると思い出しちゃって」

ほっとけないんだ、と苦笑を残し
ハイジさんは部屋のドアを開けた。

「っ…ハイジさん…!」

その背中に向かって無意識に呼び掛けていた。

私を見つけ、私を部隊へ連れて来てくれた彼。
私に敬意を表し自分の全てを話してくれた彼。
何が嘘で何が本当か解らなく怖い人だった彼。

だけど本当はとても優しくて。
部隊長とはまた違う角度から
部隊員のことを常に見ていて。

「なーに?」

振り向いた彼はもう、いつもの笑顔。
何が嘘で何が本当かわからない笑顔。
だがその笑顔は、彼が生きてきた証。

私は彼に何ができただろう。
常に与えられてばかりいて。

考えても答えはでなかった。
─ありがとうございました─
そう告げるしかできなかった。

それでも…

「ありがとう、レノちゃん」

『謀略兵』は応えてくれたのだった。
/130ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ