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LaundryHeavenly.
第2章 Heavenly.2
「…お前…っ、何してる!」
騒ぎ立てる私の肩を、ナノさんが後ろから掴み
ハイジさんから強引に引き剥がした。
瞬間、強烈な頭痛とめまいに襲われた。
身体を支える力が奪われ、私は成す術なく
ナノさんの腕の中へと倒れ込む。
「…ほら見ろ!二日間横になっていた人間が急に飛び起きて喚いて、無事な訳ないだろ!」
「………っ」
そのまま寝台に戻され、仰向けに寝かされる。
怒りの混じった声をぶつけられ、
射ぬかれてしまいそうな鋭い視線で
ナノさんは私を睨み付けた。
彼のその視線。頭痛。喉の痛み。
再び溢れ出そうになった涙。
自分の中の逸る気持ち。
全てに耐えきれず、私は両手で顔を覆った。
返す言葉もない。
でも仕方がなかったのだ。
お嬢様のことが知りたい。
私の望みはそれだけなのです。
だからどうか、お願いします…
「──まず、順を追って話そう」
寝台の脇に、また誰かが膝をついた。
そして耳に届いた、ナノさんでもハイジさんでもない、男の人の声。
私は顔を覆ったまま、それを聞いた。
「──落ち着いて」
それは低くて、どこか甘くて、穏やかで。
興奮状態の私を落ち着かせてくれる
不思議な力を持っていた。
強張った身体から、少しずつ力が抜けていくのがわかる。
「こちらを見てごらん。そう。ゆっくりでいい」
「………」
『ゆっくり』その言葉に促されるまま。
私は両手を解き、声の主の方を向いた。