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LaundryHeavenly.
第6章 Heavenly.6
「……」
涙を両手で拭い、顔を上げた。
視線の先には私を見据える彼。
暗さに慣れた私の目は
その表情だけではなく
彼の中の真摯な想いも
余すことなく写し出す。
脅かされているのではないか。
強制されているのではないか。
優しいこのひとは
それを危惧してくれているのだ。
さっき恫喝されたのもその為だ。
どこまで気遣ってくれるのだろう。
…でも。
脅されてなどいない。
強制されてもいない。
『私』が望んだこと。
『私』が決めたこと。
「──はい」
私は彼のその深緑色の瞳を見つめ返した。
それが真実であることを証明するために。
もう何度めかの沈黙が、私達を包んだ後。
「──わかった」
ブライトさんは目を伏せて溜め息混じりにそう呟くと、膝上で固く握っていたままの私の手に、自分の手を重ねた。
伝わった──と言うより、観念した、といった方が正しいだろうか。
そんな口調だった。
「レノ」
それでも彼は温もりと共に
『その言葉』を私にくれた。
「──我々はお前を迎え入れる」