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LaundryHeavenly.
第6章 Heavenly.6
「……、っ…!?」
突然のことに目を見開く。
それはまごうことない、口づけだった。
口づけを交わしたのも、『初めて』のとき。
でもあの時のそれは乱暴なもので。相手が
己の欲望を満たす以外の何者でもなかった。
でも今のこれは違う。
彼の唇は、私の薄い唇を包み込むように触れている。
それはとても柔らかくて、暖かくて。
彼の手が私に触れる時と同じように
私を慈しむものだった。
ちゅ…、ちゅ…と
微かな音を立てて
弱い力で啄まれていく。
「ふ……、ん…っ」
痛みも嫌悪感もない。
あるのは、心地よさ。
私は開ききっていた目を
静かに閉じ、それに浸る。
「ん……」
知らなかった。思いの込められた口づけは
こんなにも甘く、幸せなものだったんだ…
「……レノ」
「っぁ……ん」
もっと浸っていたい。
はしたなくもそんな思いが首をもたげた瞬間。
彼が唇を離した。
名残惜しむような声が無意識に漏れるほど
私は彼の口づけに、すっかり酔いしれていた。
「口を開けて」
魘されて目覚め、水を与えられたあのときと
全く同じ言葉。
なのに今はどうしてこんなに、甘く響くのだろう…
言われるまま、おずおずと半開いた唇。
その隙間から入り込んできたのは…舌。
「──ふ!…ぁ…っ……んん…っ」
何とも言えないその感覚に、思わず体がぴくりと跳ねた。
その舌は私の舌に触れ、絡み付いてくる。
再び密着する、唇と唇。
一気に深みを増した口づけ。
互いの唾液が交わる音が耳の内側から響く。
「…っは……うぅ…」
暖かさ、甘さ、優しさ。
その全てが溶かされた口づけは
私の頭の芯を熱くさせ、痺れさせていった。