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LaundryHeavenly.
第10章 Heavenly.10
「よかったよ。ゲロ吐かれたりしたら困るし」
幸い、私の体は副作用に見舞われることはなかった。
丈夫なことだけが取り柄だと思っていたがこんな時でもそれを発揮してくれるなんて、全くよくできているものだと思う。夜を迎え、こうして『仕事』にも臨めるのだから。
「てかさ、三日に一回の薬今日飲ませたら、必然的に僕の日に服薬させることになるじゃんねー。ひどくない?あのおぼっちゃまくん」
苦しんでる女の子相手になんかできるわけない
間接的にお預け喰らわす気だったんだ、と。
寝台に腰かけた私の真横で、屈託ない笑顔を見せる彼。でもその心配はなかったね、と同意も求められたが…どんな顔をしたらよいかわからない。
…そう。私が唯一悩まされたのは、今夜の相手である『彼』への反応だった。
「…。…あの、叱られませんでしたか…っ?」
「んー?何?」
「…その…喋りすぎるな…って」
もう一つ、気掛かりなこと。ブライトさんが私のみならず両親にしてくれたことを、目の前の彼は教えてくれた。でもブライトさんにとってそれは余計なこと。『部隊長』の気に障ってしまった彼は、制裁を受けたのではないか。いつかのように。
それをそのまま問いてみた…が。
「特になにも?いつものことだし」
とても軽い口調で返された。案の定、と言うべきか。嘘か本当か分からなかった。
「心配してくれてありがとね。こっちおいで」
「あ…」
引き寄せられたのは、彼の膝の上。彼が身に付けている下衣の柔らかい布地越しに、脚の筋の硬さが伝わる。
「いい匂いなんだよね、レノちゃんは」
彼は背後から包み込むように、私の体を抱き締めた。しなやかで硬いその感触は、彼がどれだけ明るくても、軽口を叩いていても、己の身一つで生き抜く兵士であることを物語る。
「…誘われちゃうよ」
──そして、彼もまた『男』であることも。