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LaundryHeavenly.
第11章 Heavenly.11
「──うぐうぅっ!」
潤わせたところで、所詮は付け焼き刃。
体が真っ二つに裂かれるような痛みが
私の中を駆け抜けた。猿轡が無ければ
悲鳴は辺りに響き渡っていただろう…
「…随分と軽々しく呑み込むんですね」
「んんうっ!…」
冷めた嘲りとともに腰を突き
彼はより奥深くへと押し入る。
前後への不規則な動きを以て。
それはまるで傷口に指を突っ込み
無理やり拡げられるような感覚。
そこに快楽は無い。苦痛だけだ。
「…ふ…うっ!うぅっ!ぐ…っ、……」
苦悶の声は止めどなく漏れる。
だが体はこの感覚を知っていた。
そうだ…私の『初めて』は
今と同じような状況だった。
拒否することも声をあげることも許されず
もちろん泣いてもやめてなどくれなかった。
あの方は私を欲望のまま貫いた。
私から流れる血を潤滑油にして。
「………」
まして今の私は、娼婦になった。
この寝台での主導権は彼にある。
ならば答えはひとつ。
受け入れ、従うのだ。
…できるはずだ。
私は丈夫なことだけが取り柄。
それ以上に適応力があるのだ。
だから…大丈夫。それに…
──"レノ"
私を優しく抱いてくれた『彼』の声が甦る。
──だめ。あなたの声と手は、優しすぎる。
私が何者か忘れそうになる。錯覚する。
だから今みたくひどくされた方がいい。
「…汚らわしい」
今私を貫く彼は私を傷つけてくれる。
そう…これでいいの…これで─…
私は心を殺し闇に落ちた。
私がここに居続けるため。
私の想いを果たすために。
「…んッ!?」
すべてが麻痺してきた頃だった。
突然彼は私から出て行ったのだ。
引き攣る様な痛みを残しながら。
「……るの」
ぽつりと漏らされた呟きが耳に入った。
気配で上に覆い被さられたのもわかる。
次の瞬間には…両手で首を絞められていた。
「…ぅっ?!」
「姉さんが言ったんだよ…助けて、って」
猿轡のせいで不自由だった呼吸は
更に困難になった。
そのうえ彼は、そのまま私の頭を前後に
激しく揺さぶってきたのだ。
…泣き叫びながら。
「もう嫌だって…!だからやっつけたのに…!なんでいなくなるの?!ねえ!!」
「!……」
偶然にも目隠しがずれた。
…そこにいたのは、確かに彼。
彼の姿をした、ひとりの『男の子』だった。