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猫彼女。
第1章 cat.1
「あ、履歴書書いてたんだ」
俺らが暮らす、2DKのアパート。
部屋は続き間のため、タンスがある寝室に行くには居間を通らなければならない。
中央に置かれたテーブルで、えりさは足を止めた。
そう、俺はというと。
大学から帰ってから、今の今まで履歴書書きに精を出しているところだったんだ。
これからいよいよ本格化する就活。
俺の希望業種は建設業で、希望の就職先は業界第三位の有栖(ありす)建設。
最近社長が代替わりし、何と俺と大して年が変わらない息子が就任した。
一気に若返った企業。凄く楽しそうじゃないか?若い力で、一緒に業界に革命を起こしてみたい…とまでは言わないけど。
とりあえず、まあ。早く落ち着いて
えりさと……
「あっくんやっぱり有建(ありけん)いくんだ。そう言えばあそこCM変わったよね。今日見たよ」
書きかけの履歴書を手に、にっこりと微笑んだえりさ。
…それ、反則。
「……あっくん?」
気づいたらえりさを抱き締めてた。