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猫彼女。
第1章 cat.1

「…あっくん?もうっ、ご飯作れないよ」

照れ臭そうなえりさの声。
でも逃げたりしない。
俺に素直に身を寄せてくれる。

「…俺10時からバイトだし、しばらく会えないじゃん。だから」
「しばらくって…。朝までじゃない」

俺のバイト先であるコンビニでの今日の勤務時間は、夜10時から翌朝5時まで。
何やかんやで帰宅は早くて5時半過ぎ。
その間えりさは一人になる。

えりさに限って浮気の心配は皆無だけど
この可愛さ、性格のよさ。
周りの男どもが放っておかないかもしれない。

襲われない可能性はゼロではないし、…それに
今日たまたま聞いた話なんだけど

友達が、同棲していた彼女に浮気されていたらしい。

間男は彼女のバイト先の同僚の野郎。
そいつが押しに押しまくって、ついに彼女を落としたそうだ。

しかも間男は、彼氏が不在の度に、二人が同棲している部屋に上がり込んでは事に及んでいたというのだ。

どんだけ馬鹿なんだよ。あり得ないだろ。
…と思っていたことが、実際に身近で起きた。
否が応でも不安が募る。

それを、打ち消したかった。
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