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メンズミーティング
第4章 はじめまして。
そして迎えた翌日。
朝の10時を回った頃、呼び鈴が鳴った。
「ごめんくださーい」
ああ来た来た。飯。血ゲロ吐こうが腹は減る。飯。…声が随分若い気がする。まあそんなもんはどうでもいい。飯。とにかく飯。ドアを開けた。飯。
「はじめまして!」
「………」
…姉ちゃん、あんたデリヘル頼んだんじゃねぇよな。そっちは飢えてないからね。
ともかく、俺の目線の遥か下。そこに立っていたのは、両手に大きな荷物を下げた『女の子』だった。
笑顔と元気の良い挨拶が響く。…ちっこいし華奢だし童顔だし、どう見ても中学生くらいにしか見えない。よくて高校生?…うん、少なくとも『ご年配』ではない。
「…部屋、間違えてないですか」
「え?でも…こちらだってお伺いしたんです…けど…」
指摘したら戸惑われた。…ああ、荷物の量からして家出少女か。出会い系かなんかで、今夜の宿探してた?親は何やってんだ親は。人のこと言えないけど。
「…中学生に知り合いいないから」
「中…?!違います!わたし、社会人です!!」
顔を真っ赤にして反論してくる彼女。どうやら確かに風俗系でも援交系でもないらしい。が、どうにも胡散臭い。眉間が寄っていくのが自分でも分かった。
「…中学生働かせるってどんな親なの」
「だから違います!わたし、成人です!!」
「えっ」
思わず声が出た。成人?嘘だろ?見えねぇ…。多分すごく怪訝な表情で凝視していたんだと思う。彼女はこちらの眼差しを断ち切るように頭を下げ、大きな声で言い放った。
「朝比奈未結と申します!羅々さまからご紹介頂き参りました!お仕事させて頂きます!」
───────
玄関先で騒がれても迷惑なので、とりあえず中に招き入れる。ジャンクフードの空き箱で溢れる台所の掃除を頼み、玄関を出て煙草吸いながら、姉ちゃんに電話。
『そうそう、朝比奈さんにはうちでお願いしたいことがあって。代わりに未結ちゃんに行ってもらったのよー。朝比奈さんのお孫さん!彼女も家政婦さんなの』
「へー…(じゃあ連絡しろよ)」
『可愛いでしょー?麗あんた、変な真似すんじゃないわよ?』
「…しないって。あれ子供じゃん。…じゃ」
通話も煙草も打ち切り溜息をつく。…確かに可愛い子だけど心配無用だよ。好みじゃない。