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メンズミーティング
第12章 hey my friend. 3. 2:05am

「と、盗聴ですよ?あたしに断りなく録音て」
「まあね。…前ね、今みたく家まで送った女に強姦犯にされかけたことがあったの。襲われかけたの、こっちなんだけどね」

あくまでも自衛のためと男は言った。そして電源を切ったらしいそれをもとの場所に仕舞い込むと、こちらに向かい歩みを進めてくる。


「…ここも、その隣も。今、誰も居ないね」

このアパートはワンフロア三世帯の造り。
あたしの住む部屋は、廊下の一番奥にある203号室。
男が指差したのは横一列に並ぶ二部屋のドア。端の201号室は空き部屋。すぐ隣の202号室の住人は夜の仕事をしていて、今の時間は不在。

「防犯カメラもないね」

その通り。このアパートにそんな洒落たものはない。今時オートロックでもないし、セキュリティ面ではかなり劣っている。その分家賃は安…そんなこと今はどうでもいい。

すぐ横は、アパートを囲むようなL字型の4階建てビル。現在工事中で、外壁はブルーシートですっぽりと覆われている。
そして今は草木も眠る丑三つ時。当たり前だけど誰もいない。

──つまり、ここで何が起きても、誰かに気付かれる可能性はとんでもなく低いってことだ。

男が一歩一歩、ゆっくり近づいてくる。それに比例するように、あたしも一歩一歩、後ずさっていた。

「…まぁ、あったとしても全然いいけど」
「…!」

いつしか家のドアの前も通り過ぎ、突き当たりの壁まで追い込まれてしまった。
逃げ場がない。
顔の真横の壁に、掌が打ち付けられた。
生まれて初めての『壁ドン』が、まさかこんな状況とはね……それどころじゃない。

あたしの頭の中で警報が鳴り響いた。
やばい。やばいやばいやばいやばい。
こんな状況全く予想してなかった。ていうか
こいつは今までの男らとは違う。

未結への執着心が全然違う!

「さっきの答えね。そのまま好きで居ていいよ」
「は…?」
「未結も君のこと好きって言ってたから」
「……」
「君が”未結の友達”でいるうちは大丈夫」

意味はわかるよな。
こいつの目はそう言ってた。

ゆっくりとした動作で、男はあたしから離れていく。直後、うちのドアの内側でチェーンと鍵が外される音がした。
そして見慣れた間抜け面が現れる。


「姉ちゃん?」
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