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メンズミーティング
第12章 hey my friend. 3. 2:05am
「…碧…」
こいつは弟の碧(あおい)。
リアルタイムでの深夜アニメ見たさに、土曜のこの時間は必ず家にいる。
もちろん未結とも顔見知り。三人で遊んだこともあるし、仲はいい。
「外で何やって…ぅわビックリした。こ、こんばんは?!」
あたしのすぐそばに立つでかい男に驚きを露にした碧は、男を見上げ挨拶した後あたしに寄り小声で尋ねてきた。
「…ねーちゃん、この人だれ?」
「…未結の彼氏」
名前なんか完全に飛んでた。
言いたくないけど、そう伝えるしかない。途端に碧は素っ屯狂な声をあげた。
「うそ!?未結ちゃんの?!え、マジもんのイケメンさんじゃん!そっか…って、ねーちゃん何ひとの彼氏に送らせてんだよ!あ、姉がすみませんでした!俺、弟の」
「大丈夫です。…弟って大変だよね」
嘘か誠か。こいつにも姉がいるらしい。碧と『弟あるある』で会話が弾んでいる。
馬鹿弟。警戒心持て。見た目に騙されんな。
あんたその人懐っこさが裏目に出て、幼稚園の頃誘拐されかけたの忘れたの?なに打ち解けちゃってんのよ。
心臓の鼓動が早まっている。今になって酔いが回ってきた?いや、そんな感じじゃない。
バカ面下げて笑う弟と、さっきとは真逆のにこやかな表情の男。
…あたし、怯えてる。この男に。
「…あ、そうだ。未結がね、お姉さんに何かあった時のために、君の連絡先知っておきたいんだって。俺に教えてもらってもいいかな」
「あ、はい!じゃ番号いーすか?」
…こいつ、あっさり碧とも繋がった。
「やー、彼氏さん!今日は本当にすみませんでした!あのー…彼氏さんに言うのもアレなんですけど…未結ちゃんってほんと、優しくて、単純で。そのくせ頑固で泣き虫で、面倒なことも多いかもですけど…でもほんと、いい子なんですよ。ね。ねーちゃん」
スマホを構いながら、碧はあたしに同意を求めた。反応しなかったけど。
「俺らまじ未結ちゃんのこと大好きなんです。大事にしてあげてください。よろしくお願いします!」
「こちらこそ。これからも未結のことよろしくね、紫ちゃん」
「……はい」
もう直視できなかった。