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メンズミーティング
第14章 彼女から見た彼女。2
『ちえりんりん今夜ひま?飲もーよ!皆も呼んでさ~』
ふざけたスタンプと一緒に、当人の頭の程度がわかる文章。差出人は大学で同じサークルだった男。卒業後も集まって飲む仲間の一人だ。
そして多分……あたしに気がある。
仲間内のL1NEグループはちゃんとあるのに。こいつはまず、あたしに声をかけるのだ。
そして飲み会の席では必ずあたしの側にいる。酔った勢いを装ってのボディタッチも毎回のこと。なんて分かりやすいバカ男。
しかもこいつは既婚者。
奥さんが出産のため里帰り中なのをいいことに、遊び呆けている。お堅い職業と真面目そうな外見のくせに、無責任な奴なのだ。
…それでも、今のあたしには救いだった。
あたしのなかに空いてしまった『男』の部分。
その空白を埋めてくれるだろう『男』がいる。
「……」
指が勝手に画面を操作し、返信していた。
L1NEじゃなく、電話で。
『今夜は、2人じゃダメかな?』
プレゼントと手紙とあたしの気持ちは
コンビニのゴミ箱に捨てた。
本当なら大好きな彼と過ごすはずだった夜。
あたしは彼じゃない別の男の腕の中にいた。
彼があたしを蔑ろにするのは
あたしに魅力がないからじゃない。
現にほら、この男はあたしを選んだ。永遠の愛を誓い合い、自分の子供を身ごもっている相手がいるのによ?
あたしが悪いんじゃない。
あたしが悪いんじゃない。
心の中でずっと、繰り返した。
その後も彼とは会えない日が続いた。
でもあたしは前より平気になっていた。
大好きな彼に会えない日々の寂しさを
この男で埋められるようになったから。
あの日一線を越えたこいつは、やはりずっとあたしを好きだったらしい。
あたしが彼と付き合い始めたことを知り自棄になっていたとき。たまたま飲み会で今の奥さんと知り合った。
遊びのつもりだったのに、妊娠されてしまった。
泣いて迫られ脅されて籍は入れたけど、本当に好きだったのはお前だ。誘いになんか乗るんじゃなかった。後悔してる。
そう言われた。
『会いたい』
この男は彼がくれないもの。あたしが望む言葉と時間をくれた。何度も何度も求められるまま体も重ねた。
求められるってこんなに気持ちいい事なんだ。
いつしかあたしの方が溺れていった。
そして…
生理が来ていないことに気づいた。