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メンズミーティング
第17章 哀れなボンクラに慰めを。
「あの…すみません」
葬儀を終えて。
火葬場は遠慮してもらいたいとのことで、参列者はそこでお開き。正直、助かったと思いつつ隅の喫煙所で一服してたら声をかけられた。
振り返った先には、参列者の中にいた、同年代くらいの女の子。やばい。知人てことにしてたけど赤の他人でことがバレたか。どうとでも言って誤魔化すけど。
女の子は名を名乗り、自分は幸ちゃんの親友であったと告げた。そして聞いてきたんだ。
「あの…幸の彼氏だった人のこと、知ってますか」
「え?」
「流星さん て人なんですけど…」
無論知ってる。だが敢えてしらばっくれてみた。聞いたことはあるけど詳しくは知らないって。
彼女は俺の返答に顔を曇らせ「そうですか…」と俯いた。
その様子が気になって。今度はこちらから尋ねた。「どうされたんですか」って。彼女は表情を変えないまま話を続けてくれた。
自分も流星とは数回しか会ったことはない。それでも、好きあっているのが伝わってきた。病室では、残された時間を楽しい思い出で満たそうとしているのが微笑ましくて…切なかった。
だけど──
「こなくなっちゃったんです。ほんと、突然」
「……」
すぐ判った。ああ、この子始め周りは知らないんだ。流星が幸ちゃんに『会わなくなった』んじゃなくて、『会えなくなった』ってことを。
──他でもない、幸ちゃん本人ですらも。
「…幸、ずっと待ってたんです。『流星はどうして来てくれないの?』『流星に会いたい』って、最期の日まで…ずっと」
「……」
「だからもし何かご存知なら、聞きたくて…」
「…申し訳ありません、お役に立てず」
彼女の肩が震えていたのは、どの感情のせいだったのかな…。