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メンズミーティング
第24章 暴君14歳とその兄

帰れって言ったくせに『保護者が迎えに来るまで待て』って。
マジかよ。面倒くせぇな。
パイプ椅子に背をもたれ、机に足を投げ出す。教師ももう何も言わない。あぁ腹減った。

何時?あぁもう8時かよ。パパが来たら帰りに夕飯食わせてもらおう。何にしよ。カレーか牛丼かラーメンか…あ、ほら。足音が近付いてきた。ドアが開く。ねえ、遅いじゃん。俺腹減っ…


「麗!」
「ッ、唯くん…?!」


驚いた。開かれたドアの先にいたのは、海外留学中のはずの兄貴、唯(ゆい)だったんだ。

…あ。そう言や何かの手続きの関係で、お兄ちゃん一時帰国するからね って親父言ってたっけ。今日だったのか。
俺の6歳上だから、確かに成人っちゃ成人だけど、さすがに『保護者』じゃな…

「何やってんだお前は!」
「!」

再会の余韻に浸るまでもなく。
俺は横っ面を殴り飛ばされていた。

椅子ごと床に転げ落ちる。…痛ってぇ。油断してたからモロに喰らった。口のなかに広がる鉄の味。どっか切れた。
兄貴に殴られたの、何年ぶりだろ?

顔を上げると、兄貴が土下座せんばかりの勢いで教師に頭を下げているのが見えた(父親がどうしても抜けられず、代わりに自分が来たことも謝ってた)。

「弟が大変ご迷惑をお掛け致しました。すみませんでした!」

教師はそんな兄貴をなだめつつ、経緯や何やらを説明してる。
「お兄さんも苦労しますねぇ」そんな労いか皮肉かにも、兄貴は深々と頭を下げた。そしてツカツカとこちらに歩み寄り、俺の首根っこを乱暴に掴んだ。

「立て!!」

そのまま引き上げられ、強引に立たされた。…うわ、やべぇ。目眩がする。
『正当防衛』を成立させるため、奴らからも先に何発か喰らっといたんだけど。やっぱ中学生のガキとじゃ腕力が違う。マジで痛ぇ。…気持ちの問題?


「先生にきちんとお詫びしろ!」
「……すいませんでした……」

更に追い討ちのような怒号。やめて、頭に響く。
逆らう気力も削がれ、素直に頭を下げた。
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