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メンズミーティング
第24章 暴君14歳とその兄
「ほら、乗れ!」
引き摺られるようにして学校を出て。
放り込まれたのは、兄貴のBMWの助手席。
無理矢理シートベルト締められ、車は走り出した。
「で?何があったんだ」
「…センセーが言ったとおりだよ」
「本当は違うんだろ」
「……」
お見通しかよ。だから身内は嫌なんだ。
そうだよ。今日ボコった上級生三人からは、前々から何かとちょっかい出されてた。無視してたけど、しつこく。
で、今日。
部室で待ち伏せされてて…輪姦されそうになった。
その上、奴らそれを撮影して拡散する気だった。
だから『返り討ち』にしてやったんだよ。
誰にも言わないつもりだったのに、喋ってた。
だから身内は怖いんだ。
「…またそっち系か。苦しいよな、お前も」
「……」
「父さんに話したところで、変わらないもんな」
それね。あの人なんかハナからあてにしてないよ。
どうせ『麗くんはママ似だからね(ニコッ』で終わりだから。
『最後に頼れるのは自分よ、麗』
これは、姉ちゃんの言葉。
お勉強はできてもバカでケバくてどうしようもない女だけど(本人にバレませんように)この言葉をくれたことには感謝してる。
だから、自分で解決したんだ。
「ならもっとうまくやれよ」
冷めた言葉が刺さる。
いつの間にか唯くんの口元に咥えられていた煙草。ため息と一緒に煙を吐きながら言葉を続けたのは、俺の兄貴。
「結局テメーだけが損してんじゃねぇか。下手くそ」
──ほらな、身内は怖いんだよ。
全部『わかる』から。
『わざと』俺を殴り飛ばして、教師に『素行の悪い弟に手を焼く責任感の強い兄』を見事に演じた、兄貴。
「いいよ。後は俺に任せろ、麗」
誰よりも強くて優しくて賢くて、誰よりも冷酷な──『唯くん』だった。