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縁
第9章 悪い癖
さっきは酷い人だと思ったが、嫌々でも世話をしていただけマシかもしれない。
中には我が子ですら山に捨てる人がいる。
山に捨てられると、ほぼ間違いなく野犬や熊の餌食になる。
「おお、女将がよ、あんたは既にひとり育ててるんだから、この子も育てたらどうだ?って言うんだ、冗談じゃねぇ、そりゃ……ひょっとしたら俺の子かもしれねぇが、証拠はねぇんだからな、ガキはいらねぇ、それによ~、このすみれだってよ、どっかの金持ちに貰われる方がいいに決まってる、百合子は元はちゃんとした家の娘だった、だったらちょうどいいだろうよ」
辰は出来る限り自分の子だと認めたくないようだ。
それについては……絢音はなんとも言えないが、お金持ちに貰われた方がいいというのは、辰と同じだった。
自分は今普通に暮らせているが、保証があるわけじゃない。
万一お金がなくなったら、すみれに苦労をかける事になる。
貧乏というものがどんなに辛いか、身に染みて知っているからそう思ったのだ。
とにかく、月齢がわかった事だし、絢音は本を読んでみた。
2ヶ月位はまだ寝ている事が多いらしい。
それに夜中もミルクを与えると書いてある。
「2、3時間おき……」
ちゃんと起きれるか、心配になった。
「ん、なにがだ?」
辰はタバコを吹かしながら聞いた。
「ミルク、2、3時間おきだって……、夜中も、私、起きられるかな」
絢音は不安げに呟く。
「なもん、夜中に飲まねぇからって、死にやしねぇよ、ほっとけ」
辰は無責任な事を言う。
「あ、だけど……、泣くって書いてあるから、泣き声で目が覚めるかも」
絢音は本に目を通して気づいた。
すみれはさっきからやけにおとなしくしているが、女将がミルクを与えたばかりなので、たまたま静かにしているだけだった。
「勘弁してくれ、ビービー泣かれちゃ堪らねぇな、だからガキは嫌いなんだ」
中には我が子ですら山に捨てる人がいる。
山に捨てられると、ほぼ間違いなく野犬や熊の餌食になる。
「おお、女将がよ、あんたは既にひとり育ててるんだから、この子も育てたらどうだ?って言うんだ、冗談じゃねぇ、そりゃ……ひょっとしたら俺の子かもしれねぇが、証拠はねぇんだからな、ガキはいらねぇ、それによ~、このすみれだってよ、どっかの金持ちに貰われる方がいいに決まってる、百合子は元はちゃんとした家の娘だった、だったらちょうどいいだろうよ」
辰は出来る限り自分の子だと認めたくないようだ。
それについては……絢音はなんとも言えないが、お金持ちに貰われた方がいいというのは、辰と同じだった。
自分は今普通に暮らせているが、保証があるわけじゃない。
万一お金がなくなったら、すみれに苦労をかける事になる。
貧乏というものがどんなに辛いか、身に染みて知っているからそう思ったのだ。
とにかく、月齢がわかった事だし、絢音は本を読んでみた。
2ヶ月位はまだ寝ている事が多いらしい。
それに夜中もミルクを与えると書いてある。
「2、3時間おき……」
ちゃんと起きれるか、心配になった。
「ん、なにがだ?」
辰はタバコを吹かしながら聞いた。
「ミルク、2、3時間おきだって……、夜中も、私、起きられるかな」
絢音は不安げに呟く。
「なもん、夜中に飲まねぇからって、死にやしねぇよ、ほっとけ」
辰は無責任な事を言う。
「あ、だけど……、泣くって書いてあるから、泣き声で目が覚めるかも」
絢音は本に目を通して気づいた。
すみれはさっきからやけにおとなしくしているが、女将がミルクを与えたばかりなので、たまたま静かにしているだけだった。
「勘弁してくれ、ビービー泣かれちゃ堪らねぇな、だからガキは嫌いなんだ」