この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
第9章 悪い癖
さっきは酷い人だと思ったが、嫌々でも世話をしていただけマシかもしれない。
中には我が子ですら山に捨てる人がいる。
山に捨てられると、ほぼ間違いなく野犬や熊の餌食になる。

「おお、女将がよ、あんたは既にひとり育ててるんだから、この子も育てたらどうだ?って言うんだ、冗談じゃねぇ、そりゃ……ひょっとしたら俺の子かもしれねぇが、証拠はねぇんだからな、ガキはいらねぇ、それによ~、このすみれだってよ、どっかの金持ちに貰われる方がいいに決まってる、百合子は元はちゃんとした家の娘だった、だったらちょうどいいだろうよ」

辰は出来る限り自分の子だと認めたくないようだ。
それについては……絢音はなんとも言えないが、お金持ちに貰われた方がいいというのは、辰と同じだった。
自分は今普通に暮らせているが、保証があるわけじゃない。
万一お金がなくなったら、すみれに苦労をかける事になる。
貧乏というものがどんなに辛いか、身に染みて知っているからそう思ったのだ。

とにかく、月齢がわかった事だし、絢音は本を読んでみた。
2ヶ月位はまだ寝ている事が多いらしい。
それに夜中もミルクを与えると書いてある。

「2、3時間おき……」

ちゃんと起きれるか、心配になった。

「ん、なにがだ?」

辰はタバコを吹かしながら聞いた。

「ミルク、2、3時間おきだって……、夜中も、私、起きられるかな」

絢音は不安げに呟く。

「なもん、夜中に飲まねぇからって、死にやしねぇよ、ほっとけ」

辰は無責任な事を言う。

「あ、だけど……、泣くって書いてあるから、泣き声で目が覚めるかも」

絢音は本に目を通して気づいた。
すみれはさっきからやけにおとなしくしているが、女将がミルクを与えたばかりなので、たまたま静かにしているだけだった。

「勘弁してくれ、ビービー泣かれちゃ堪らねぇな、だからガキは嫌いなんだ」









/158ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ