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縁
第10章 クズの半生反省
◇◇◇
すみれが居なくなったら、急に家の中が静かになった。
部屋の隅に置かれたベッドの籠、ミルクの残りにオムツ……。
絢音はあの夫婦に渡せば良かったと思ったが、あれだけのお金持ちなら、新しい物を買いたがるだろう。
そう思い直してため息をついた。
「絢音、そんなに寂しけりゃ猫でも飼うか?」
辰は絢音を元気づけようとした。
「ううん……、いい、大丈夫、それより辰さん」
絢音は辰に聞きたい事があった。
「ん、なんだ?」
「これで百合子お姉さん、安心したかな?」
「ああ、多分な、百合子だって俺が育てたらどうなるか、それ位はわかる、あの金持ち夫婦に貰われていって良かったんだよ、あの亭主は街で貿易商をしている、名前は確か……大谷だ、けどな、住所やら何やら詳しい事は聞かずにいた、勿論ヤスは知ってるが、俺らは知らねぇ方がいい、すみれはあの夫婦の子供になったんだ、俺らとは無関係だ、百合子の事もな」
すみれが居なくなったら、急に家の中が静かになった。
部屋の隅に置かれたベッドの籠、ミルクの残りにオムツ……。
絢音はあの夫婦に渡せば良かったと思ったが、あれだけのお金持ちなら、新しい物を買いたがるだろう。
そう思い直してため息をついた。
「絢音、そんなに寂しけりゃ猫でも飼うか?」
辰は絢音を元気づけようとした。
「ううん……、いい、大丈夫、それより辰さん」
絢音は辰に聞きたい事があった。
「ん、なんだ?」
「これで百合子お姉さん、安心したかな?」
「ああ、多分な、百合子だって俺が育てたらどうなるか、それ位はわかる、あの金持ち夫婦に貰われていって良かったんだよ、あの亭主は街で貿易商をしている、名前は確か……大谷だ、けどな、住所やら何やら詳しい事は聞かずにいた、勿論ヤスは知ってるが、俺らは知らねぇ方がいい、すみれはあの夫婦の子供になったんだ、俺らとは無関係だ、百合子の事もな」