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第10章 クズの半生反省
百合子は元は確かな素性だったとしても、温泉街の湯女に成り下がった。
すみれは湯女が産んだ子供という事になる。
そういった過去は、全てなかった事にするのがすみれの為だと……辰はそう思っていた。

「うん……、そうだよね、すみれちゃんが幸せになれば、お姉さんもきっと喜ぶ筈」

「ああ、そういうこった、元気だせ」

「はい……」



─────


また2人きりの生活に戻った。

このアパートは見た目は老朽化しているが、風呂はついている。
温泉場だけに温泉をひいてるのだ。
風呂場は浴室兼洗濯場になっている。
大きなタライと洗濯板、洗濯石鹸が置いてあり、洗い場の横に立てかけてある。
絢音は毎日このタライを使って洗濯をしていた。
子供には大変な作業だが、絢音は慣れている。
家にいた時は井戸の傍が洗濯場だったので、真冬の寒い時は大変だった。
ここは屋内だから快適だ。

辰は昼間に風呂に入る事があるので、洗濯は風呂場が使える時にやっている。

今日は辰が留守だ。
絢音は風呂場で洗濯をしていた。
洗濯自体は楽とまではいかないが、洗濯板で擦ればいいのだから簡単な作業だ。
一番大変なのは絞る作業だった。
絢音は濯ぎまで済ませると、洗濯物をひとつずつ絞っていく。
大きな物は一度には絞れないので、ギュッと一纏めにして端から絞る。






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