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縁
第10章 クズの半生反省
─────
その一方で、絢音はいつ切り出そうかと悩んでいた。
約束したとはいえ、自分からは言い出しにくい。
この日は早めに風呂に入って、窓際で涼んでいた。
季節は夏……。
昼間は暑くて堪らないが、山あいのこの街は夜になれば涼しい風が吹く。
辰はまだ帰って来ない。
夕飯の支度は済ませてあるので、いつ帰宅してもすぐに用意が出来る。
色街は赤や橙色の提灯で彩られ、まるで暗闇に咲く花のようだ。
提灯が花なら、街角に立つ派手な女達はひらひらと妖艶に舞う蝶だと、絢音は何気なくそんな事を考えていた。
「ふうー……」
あの女達のように簡単に誘えたら……そう思ってため息をついた。
けれど、あの人達はお金を稼ぐ為にやっている。
中には止むにやまれぬ事情を抱えた人もいるんだから、そんな風に考えちゃ駄目だ。
そう思った直後にドアが開く音がした。
「辰さん……」
絢音は立ち上がって玄関に行った。
「あ……」
その一方で、絢音はいつ切り出そうかと悩んでいた。
約束したとはいえ、自分からは言い出しにくい。
この日は早めに風呂に入って、窓際で涼んでいた。
季節は夏……。
昼間は暑くて堪らないが、山あいのこの街は夜になれば涼しい風が吹く。
辰はまだ帰って来ない。
夕飯の支度は済ませてあるので、いつ帰宅してもすぐに用意が出来る。
色街は赤や橙色の提灯で彩られ、まるで暗闇に咲く花のようだ。
提灯が花なら、街角に立つ派手な女達はひらひらと妖艶に舞う蝶だと、絢音は何気なくそんな事を考えていた。
「ふうー……」
あの女達のように簡単に誘えたら……そう思ってため息をついた。
けれど、あの人達はお金を稼ぐ為にやっている。
中には止むにやまれぬ事情を抱えた人もいるんだから、そんな風に考えちゃ駄目だ。
そう思った直後にドアが開く音がした。
「辰さん……」
絢音は立ち上がって玄関に行った。
「あ……」