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縁
第10章 クズの半生反省
辰はヤスにいくらか金を渡そうと思っていたが、送金するより直に渡したかった。
しかし町に行く機会がなく、ズルズルとそのままになっていたので、今回ヤスが不意打ちで遊びに来た為、いい機会だと思って渡したのだ。
「ありゃたいした事じゃねぇ、ガキを探してる金持ちがいるって噂を聞いてよ、で、ただ声をかけただけだ、なもん貰う程の事じゃねぇよ」
すみれの事は、端から夫婦の方が話に乗り気だった。
それでトントン拍子に進んだだけだったので、ヤスは悪いと思って遠慮した。
「いや、お前がいたからいい縁に巡りあえたんだ、黙って取っとけ」
辰はヤスの手を掴んで無理矢理封書を握らせた。
「お、おお……、そうか、そこまで言うなら、貰っとくか、へっ……、わりぃな」
ヤスは照れ笑いを浮かべて金を懐にしまい込んだ。
絢音は窓際に歩いて行き、2人の様子を黙って眺めていた。
ヤスは泊まりはしないようだが、辰は外に飲みに行くかもしれない。
今夜も……言い出す機会はなさそうだ。
ガッカリしたが、ヤスは遠路はるばるやって来た。
しかも、すみれに良縁をもたらしてくれた人だ。
我儘な事を考えたら、バチが当たる。
しかし町に行く機会がなく、ズルズルとそのままになっていたので、今回ヤスが不意打ちで遊びに来た為、いい機会だと思って渡したのだ。
「ありゃたいした事じゃねぇ、ガキを探してる金持ちがいるって噂を聞いてよ、で、ただ声をかけただけだ、なもん貰う程の事じゃねぇよ」
すみれの事は、端から夫婦の方が話に乗り気だった。
それでトントン拍子に進んだだけだったので、ヤスは悪いと思って遠慮した。
「いや、お前がいたからいい縁に巡りあえたんだ、黙って取っとけ」
辰はヤスの手を掴んで無理矢理封書を握らせた。
「お、おお……、そうか、そこまで言うなら、貰っとくか、へっ……、わりぃな」
ヤスは照れ笑いを浮かべて金を懐にしまい込んだ。
絢音は窓際に歩いて行き、2人の様子を黙って眺めていた。
ヤスは泊まりはしないようだが、辰は外に飲みに行くかもしれない。
今夜も……言い出す機会はなさそうだ。
ガッカリしたが、ヤスは遠路はるばるやって来た。
しかも、すみれに良縁をもたらしてくれた人だ。
我儘な事を考えたら、バチが当たる。