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縁
第10章 クズの半生反省
「はははっ、育てた恩を忘れたか、お前はヤクザに囲われてるんだって?ネックレスなんかつけて、随分幸せそうだな」
男は笑って言った。
「父さん……」
よく見ると、それは父親だった。
絢音はあまりの変わりように硬直してその場に立ち竦んでいた。
「やっと思い出したか、お前の消息をな、あの時の女衒じゃなく、別の女衒に聞いた、なけなしの金をはたいて……日が暮れてやっとここに着いた、お前はてっきり売女になったと思ってな、あちこち聞いて歩いたが、なんせこの身なりだ、追い払われちまって……なかなか聞けなかった、で、なんとか行先を聞いて、ここにいるとわかったんだ、まさかヤクザに気に入られて囲われ者になるとはな、母さんに似て器量がいいのが良かったんだ」
父親は勝手にペラペラと喋ったが、絢音には嫌悪感以外なにも情は湧いてこなかった。
「なにしに……来たの?」
みすぼらしく変貌したこの男は、紛れもなく実の父親だが、仕事もせずに酒浸りの日々……。
絢音は食う物に困って、近所の農家に頭を下げてクズ野菜を分けて貰った。
家事を全てこなし、生きるために一生懸命だったのに、機嫌が悪いと理由もなく手をあげた。
その挙句、酒代欲しさに自分を女衒に売り飛ばした。
男は笑って言った。
「父さん……」
よく見ると、それは父親だった。
絢音はあまりの変わりように硬直してその場に立ち竦んでいた。
「やっと思い出したか、お前の消息をな、あの時の女衒じゃなく、別の女衒に聞いた、なけなしの金をはたいて……日が暮れてやっとここに着いた、お前はてっきり売女になったと思ってな、あちこち聞いて歩いたが、なんせこの身なりだ、追い払われちまって……なかなか聞けなかった、で、なんとか行先を聞いて、ここにいるとわかったんだ、まさかヤクザに気に入られて囲われ者になるとはな、母さんに似て器量がいいのが良かったんだ」
父親は勝手にペラペラと喋ったが、絢音には嫌悪感以外なにも情は湧いてこなかった。
「なにしに……来たの?」
みすぼらしく変貌したこの男は、紛れもなく実の父親だが、仕事もせずに酒浸りの日々……。
絢音は食う物に困って、近所の農家に頭を下げてクズ野菜を分けて貰った。
家事を全てこなし、生きるために一生懸命だったのに、機嫌が悪いと理由もなく手をあげた。
その挙句、酒代欲しさに自分を女衒に売り飛ばした。