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第10章 クズの半生反省
「待ってくれ、あんた絢音の旦那か?」

父親は慌てて聞いたが、絢音はもう駄目だと思った。
ヤスは見えないが、そばにいるに違いなく、バレるのは防ぎようがない。

「旦那だと?なに言ってやがる、俺はおめぇに聞いてんだ、ルンペンがなんの用だ、物乞いならそこらの地べたでやれ」

辰も絢音と同様に乞食だと思った。

「俺は絢音の父親だ、へへへっ、しかし旦那ぁ~、俺とそう歳が変わらねぇな」

父親は辰が自分とさほど変わらぬ年に思え、下卑た笑いを浮かべて言った。

「なにぃ?父親だと……」

辰は唖然として胸倉から手を離した。

「ちょっと待て、父親?父親は辰、お前だろ?」

ヤスはやっぱりそばにいた。
父親の話を聞いて首を傾げ、辰に問いかけた。

「父親は正真正銘俺だ、俺が絢音を女衒に売ったんだ」

その問いに答えたのは父親だった。

「女衒……、辰、親子だっていうのは嘘だったのか」

ヤスは驚いた顔をして辰を見た。

「ああ、そうだ、絢音に手ぇ出されちゃ困るからな、それより……今はそんなこたぁどうでもいい、おい父親、さてはお前……娘をあてにしてたかりにきたな?」

しかし、辰はそれどころではない。
適当に答えると、みすぼらしい格好をした父親に詰め寄った。






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