この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
縁
第10章 クズの半生反省
「待ってくれ、あんた絢音の旦那か?」
父親は慌てて聞いたが、絢音はもう駄目だと思った。
ヤスは見えないが、そばにいるに違いなく、バレるのは防ぎようがない。
「旦那だと?なに言ってやがる、俺はおめぇに聞いてんだ、ルンペンがなんの用だ、物乞いならそこらの地べたでやれ」
辰も絢音と同様に乞食だと思った。
「俺は絢音の父親だ、へへへっ、しかし旦那ぁ~、俺とそう歳が変わらねぇな」
父親は辰が自分とさほど変わらぬ年に思え、下卑た笑いを浮かべて言った。
「なにぃ?父親だと……」
辰は唖然として胸倉から手を離した。
「ちょっと待て、父親?父親は辰、お前だろ?」
ヤスはやっぱりそばにいた。
父親の話を聞いて首を傾げ、辰に問いかけた。
「父親は正真正銘俺だ、俺が絢音を女衒に売ったんだ」
その問いに答えたのは父親だった。
「女衒……、辰、親子だっていうのは嘘だったのか」
ヤスは驚いた顔をして辰を見た。
「ああ、そうだ、絢音に手ぇ出されちゃ困るからな、それより……今はそんなこたぁどうでもいい、おい父親、さてはお前……娘をあてにしてたかりにきたな?」
しかし、辰はそれどころではない。
適当に答えると、みすぼらしい格好をした父親に詰め寄った。
父親は慌てて聞いたが、絢音はもう駄目だと思った。
ヤスは見えないが、そばにいるに違いなく、バレるのは防ぎようがない。
「旦那だと?なに言ってやがる、俺はおめぇに聞いてんだ、ルンペンがなんの用だ、物乞いならそこらの地べたでやれ」
辰も絢音と同様に乞食だと思った。
「俺は絢音の父親だ、へへへっ、しかし旦那ぁ~、俺とそう歳が変わらねぇな」
父親は辰が自分とさほど変わらぬ年に思え、下卑た笑いを浮かべて言った。
「なにぃ?父親だと……」
辰は唖然として胸倉から手を離した。
「ちょっと待て、父親?父親は辰、お前だろ?」
ヤスはやっぱりそばにいた。
父親の話を聞いて首を傾げ、辰に問いかけた。
「父親は正真正銘俺だ、俺が絢音を女衒に売ったんだ」
その問いに答えたのは父親だった。
「女衒……、辰、親子だっていうのは嘘だったのか」
ヤスは驚いた顔をして辰を見た。
「ああ、そうだ、絢音に手ぇ出されちゃ困るからな、それより……今はそんなこたぁどうでもいい、おい父親、さてはお前……娘をあてにしてたかりにきたな?」
しかし、辰はそれどころではない。
適当に答えると、みすぼらしい格好をした父親に詰め寄った。