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第11章 悲しい性
◇◇◇

部屋に上がったら2人共ちゃぶ台のそばに座り、タバコを吹かしながら話をした。

絢音は辰のやや後ろに座り、辰がざっくりと事情を説明していったが、たいした内容ではない。
気紛れに思いつきで絢音を置いた。
ただそれだけの事だ。

「なるほどな、事情はわかった、ただ……お前のような女好きが、手を出さずにそばに置くってぇのが……奇跡だな」

ヤスは不思議がっているが、辰の事を知る人間なら誰しもそう思うだろう。

「そんなもん……当たり前だ、さっきも奴と話したが、絢音はガリガリの棒っきれみてぇなガキだったんだ、言っとくがな、俺は売りに出せる年齢以下は手を出さねぇ、それに……絢音は家族のように思ってたんだ」

辰は心外だと言わんばかりに言った。

「おお、そりゃまあ~わかった、けどよ、今はどうなんだ?」

ヤスはニヤついた顔で聞いた。

「あのな~、そんな事は……どうでもいいだろ」

辰は目を逸らしてあやふやな事を言う。

「ふーん、そうか……」

けれど……いくら隠しても、ヤスにはバレている。
辰は気に入った女がいたら、『気に入った』とはっきり言う質だ。
なのに、はっきり言おうとしない。
ヤスはちょっとからかってやろうと思った。

「それじゃあよ、赤の他人なら……俺が絢音ちゃんに惚れても構わねぇよな?」

「駄目だ、絢音はそこいらの女とはわけが違う、俺が養ってきたんだ、もし手ぇだしたりしたら……いくらお前でも許さねぇぞ」

辰はまんまと乗せられ、ムキになって言い返した。








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