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第11章 悲しい性
「へへっ、いっつも悪ぃな」

ヤスは箸を持って早速食べ始める。

「いえ、お茶いれてきますね」

絢音は軽く頭を下げて炊事場に向かう。

「おお、悪ぃな、絢音ちゃんは今日も食べねぇのか?」

ヤスはふと疑問に思って聞いたが、絢音は2人とはずらして食事をとるようにしている。
そうしないと、一緒に食べたら食事中に動かなきゃいけなくなるからだ。

「私は大丈夫です、適当に食べますから」

絢音はやかんをコンロに置いて火をつけ、ヤスの方へ振り向いて言った。

「そうか……、しかしうめぇな、辰の奴、こんないいもん食ってたのか」

ヤスは甘辛い煮魚に舌づつみを打ちながら、辰を羨ましく思っていた。

「そんなたいしたもんじゃ……、辰さんが色んな食材を買ってきてくれるから、凄く助かってます」

絢音からすれば、有り余る程の様々な食材は、今でもやっぱり宝物のように感じる。

「あいつ、朝っぱらから店に行って店主を叩き起こしてるらしいな」

「はい……」

辰は一番初めに食材を調達しに行った時、早朝から買い出しに行ったが、それは現在も継続されていた。







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