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第12章 成れの果て
「俺の人生だ、あんたにゃ分からねぇ、あんたはよ、絢音に惚れてるんだろ?親子程年が離れてるが、あんたが絢音を大事にしてるのはわかる、俺は最低な父親で、絢音を不幸にする疫病神だ、こんな事を言ったら怒るかもしれねぇが、俺はな、てっきり客でもとらされてるかと思った、そりゃだって……ヤクザだからな、女なんて金づる程度だろう、けどあんたは違う、あの娘を可愛がってる、なあ柏木さん、この先もあの娘を大事にしてやってくれ」

父親は自分の事はそっちのけで絢音の事を話し、真剣な顔をして辰に絢音の事を頼んだ。

「あんたは出来ねぇのか?」

辰は答えずに聞き返した。

「俺は無理だ、俺が出来なかった分、あんたに頼む」

父親は親としての責任を背負う気概など、端から持ち合わせてはいなかった。

「ああ、言われなくとも……今はそう思ってる、絢音がやって来た時、俺は……、ガキなんか渡されて……参った、ただな、俺は独り身だから家ん中が散らかってる、で、家事をやらせたら……って、偶然思いついた、出来なきゃそこらの売春宿に引き渡そうと思ってた、ところが……絢音はあんたに苦労させられたお陰で器用になんでもこなす、だから養ってやったんだ、意外と役に立つと思ってな、そんなもんだ、あんたが言った通り女衒と変わりはねぇ、ヤクザだからな、ただよ、いつの間にか家族みてぇな気持ちになっちまった、犬や猫でも情が移るんだから……当たり前といや当たり前か」

辰は大事にすると約束した上で、絢音との経緯を語った。

「そうだったのか、じゃあ……、本当に手を出してないのか」

父親はようやく辰の言った事を信じた。








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