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縁
第13章 クズの決意
「あ、そうっすか?それはありがてぇ」
若い衆は降って湧いた話に喜び、ニヤついて頭を下げた。
「ああ、ま、そういうこった」
辰はひとこと返し、アパートを目指して歩き出した。
絢音はまだ辰の腕を掴んでいたが、それを見た若い衆は、やっぱり売り出し前の女なんだと思った。
部屋に戻って来たら、辰は窓際に行って座り、絢音は食事の用意をする事にした。
朝早かった事もあり、食事は抜きで見送りに行った。
「ご飯、すぐに用意しますね」
絢音は辰に言って炊事場に向かう。
「なあ、絢音」
辰はちょっと気になる事があった。
「はい」
絢音は立ち止まって辰の方へ振り向いた。
「お前、さっき外を歩いた時、気分よかったのか?」
やけに楽しそうにしていたので、辰はそれならば……と思った。
「はい、たまにしか出ないから、なんだか……すっきりした気持ちになります」
気分が良かったのは外出が禁止されてるせいもあるが、やたら楽しく感じたのは、辰と2人で寄り添って歩いたからだ。
「昼間は暑いからよ、日差しが弱くなったら出かけよう、山に景色のいいところがあるんだ、俺が連れて行く」
辰は夕涼みがてらに、絢音と一緒にその辺を散策する事にした。
よくよく考えたら、そんな風に散歩なんかする事はなかった。
風光明媚とまではいかないが、この近くに小さな滝がある。
絢音をそこへ連れて行ってやろうと思った。
「ほんとに?」
絢音は目を輝かせて聞き返した。
「ああ、ほんとだ」
若い衆は降って湧いた話に喜び、ニヤついて頭を下げた。
「ああ、ま、そういうこった」
辰はひとこと返し、アパートを目指して歩き出した。
絢音はまだ辰の腕を掴んでいたが、それを見た若い衆は、やっぱり売り出し前の女なんだと思った。
部屋に戻って来たら、辰は窓際に行って座り、絢音は食事の用意をする事にした。
朝早かった事もあり、食事は抜きで見送りに行った。
「ご飯、すぐに用意しますね」
絢音は辰に言って炊事場に向かう。
「なあ、絢音」
辰はちょっと気になる事があった。
「はい」
絢音は立ち止まって辰の方へ振り向いた。
「お前、さっき外を歩いた時、気分よかったのか?」
やけに楽しそうにしていたので、辰はそれならば……と思った。
「はい、たまにしか出ないから、なんだか……すっきりした気持ちになります」
気分が良かったのは外出が禁止されてるせいもあるが、やたら楽しく感じたのは、辰と2人で寄り添って歩いたからだ。
「昼間は暑いからよ、日差しが弱くなったら出かけよう、山に景色のいいところがあるんだ、俺が連れて行く」
辰は夕涼みがてらに、絢音と一緒にその辺を散策する事にした。
よくよく考えたら、そんな風に散歩なんかする事はなかった。
風光明媚とまではいかないが、この近くに小さな滝がある。
絢音をそこへ連れて行ってやろうと思った。
「ほんとに?」
絢音は目を輝かせて聞き返した。
「ああ、ほんとだ」