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第14章 えにし(縁)
◇◇◇

日差しが橙色に染まり始めた頃、辰が部屋に戻ってきた。

絢音は晩御飯の支度を済ませ、着替えをして待っていた。

「辰さん」

ドアが開く前に玄関に走って行くと、辰はドアを開けてニヤリと笑った。

「準備万端だな、じゃ行くか?」

よっぽど嬉しいんだと思い、こんな事で喜ぶなら、何故もっと早く気づいてやれなかったんだ?と、自分を責めていた。

「はい」

絢音は張り切って返事をした。

「よし、それじゃ来な」

「はい」

靴を履き、辰について玄関を出た。
階段を降りて、温泉場に背を向けて歩き出したが、夕日が沈むまではまだ少し余裕がありそうだ。
あまり暗くなると景色が見られなくなるので、辰は雑用を下っ端に押し付け、まだ明るいうちに部屋に戻ってきていた。








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