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縁
第14章 えにし(縁)
山へ向かう細い道へ入ったら、辰は絢音に腕を差し出し、持つように言った。
「えへへっ、はい」
絢音は辰が言ってくれた事が嬉しくて、満面の笑みで腕をとって歩いた。
「あのな、熊が出たらやべぇからよ、くっついてた方がいい、一応ドスを持ってきた」
だが、辰は熊の事を言う。
「え……、熊?」
絢音はちょっとがっかりした。
「いやまぁー、その……」
辰は絢音の顔を見て、しまったと思った。
実際に熊も心配だったが、本当はそれだけじゃない。
「熊だけじゃねぇ……、お前とくっつきてぇからだ」
照れ臭そうにボソッと言った。
「うん……」
絢音は嬉しそうに頷いた。
辰の何気ない優しさが心に染み渡り、父親の死によって生じた虚しさも、薄らいでいくような気がした。
「えへへっ、はい」
絢音は辰が言ってくれた事が嬉しくて、満面の笑みで腕をとって歩いた。
「あのな、熊が出たらやべぇからよ、くっついてた方がいい、一応ドスを持ってきた」
だが、辰は熊の事を言う。
「え……、熊?」
絢音はちょっとがっかりした。
「いやまぁー、その……」
辰は絢音の顔を見て、しまったと思った。
実際に熊も心配だったが、本当はそれだけじゃない。
「熊だけじゃねぇ……、お前とくっつきてぇからだ」
照れ臭そうにボソッと言った。
「うん……」
絢音は嬉しそうに頷いた。
辰の何気ない優しさが心に染み渡り、父親の死によって生じた虚しさも、薄らいでいくような気がした。