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第14章 えにし(縁)
山道をひたすら歩き、ちょっとひらけた場所に出た。

緑の木々に囲まれた場所に、水が流れ落ちる音が響く。
ザーッという音が絶え間なく続き、辺りにこだまして共鳴する。
見上げれば、小さな滝が目の前にある。
飛び散った水飛沫が細かな霧状になり、2人の上にキラキラと降り注いだ。
ひんやりとした空気が心地よく、絢音は辰の腕から手を離し、背のびして深呼吸をする。

「ふー、辰さん、涼しくて気持ちいい」

辰は絢音の横顔を見ていたが、目が離せなくなっていた。
夕日に染まる飛沫の霧は、淡く光り輝いて絢音を包み込む。
その中で気持ちよさそうに目を細める顔は、可愛らしいというよりも美しい。
やけに大人びていて、無性に惹き付けられる。

「絢音……」

堪らなくなって絢音を抱き締めた。

「あ……」

絢音はちょっとびっくりしたが、辰の胸板に顔が埋まってドキドキした。





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