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第5章 後悔
「お前は黙ってろ」

だが、辰は相手にしなかった。
そうする間に菜摘が来てしまい、絢音は従順に従う菜摘を見て……胸がズキンと痛んだ。

今になって声をかけづらかったが、勇気を出して言う事にした。

「菜摘ちゃん……私……、ごめん、手伝い……嬉しかった、ありがとう」

辰が決めた事はどうにもできないが、せめて菜摘に謝りたかった。

「ううん……、絢音ちゃん、あたしこそ……ごめんね」

菜摘は薄い笑みを浮かべて首を横に振り、逆に自分が謝罪したが……菜摘は絢音の気持ちを見抜いていた。

「え……?」

絢音は何故菜摘が謝るのか分からなかったが、理由を聞く暇はなく、菜摘は辰に連れられて行ってしまった。

2人が居なくなり、無性に悲しくなって涙が零れ落ちた。

菜摘に、もっと優しくしてあげれば良かったと悔やんだが……過ぎた時間は2度と元には戻らない。



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