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縁
第7章 少年
辰は一発顔を殴った後に平手で何発も殴り、畳に倒れ込んだ少年を足で蹴り始めた。
少年は最初こそ詫びを口にしていたが、直ぐに言葉が出なくなり、蹴られるたびに呻き声を漏らしていた。
「あ……」
絢音は起き上がって茫然と見ていたが、はだかれたワンピースを直して辰の傍へ走って行った。
「辰さん、もうやめて!」
少年を蹴り上げる辰の背後から抱きついて頼んだ。
「絢音……」
辰は振り向いて絢音の顔を見た。
絢音は今にも泣き出しそうな顔をしている。
それを見たらフッと力が抜けて、冷静さが戻ってきた。
「ちっ……」
辰が少年に向かって舌打ちすると、少年はフラフラしながら起き上がり、脱いだ服を着ていった。
服を着たら前屈みになって玄関に向かう。
「おい、お前はここから出て行け、二度と俺の前に顔を出すな」
辰は少年に向かって言ったが、それはつまり……ここで商売をするなと言う事だ。
「は、はい……」
少年は前屈みになったまま怖々返事を返し、ふらつきながら部屋から出て行った。