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縁
第8章 クズの純情
◇◇◇
ちょっとした列車の旅を経て、街へ着いた時には既に日が暮れかかっていた。
駅を出て商店が立ち並ぶ場所へ歩いて行くと、多くの人々が行き交い、広い通りには車までチラホラ走っている。
絢音は華やかな賑わいに目を奪われ、キョロキョロしながら歩いたが、そうするうちに酒場が立ち並ぶ繁華街へやって来た。
すると温泉街と同じように、派手な化粧をした女が所々に立っている。
ただ、行き交う男達は温泉場の炭鉱夫とは違い、見るからに垢抜けた風貌をしていた。
絢音は洒落た出で立ちをした男につい目を奪われていたが、男は女に誘われるままにフラフラと店の中へ入って行く。
そこは……結局同じなんだと思った。
それから、温泉街は店の軒先に提灯をぶら下げてあるが、ここはカラフルなネオンだ。
怪しく光るネオンを珍しそうに見ながら、辰の脇について歩いた。
暫くすると辰は足を止め、古びた扉の前に立った。
絢音はそのまま中に入るのかと思ったが、辰は振り返って小声で念を押した。
「いいか、名前で呼ぶんじゃねぇ、父さんだ、分かったな?」
「はい」
ちょっとした列車の旅を経て、街へ着いた時には既に日が暮れかかっていた。
駅を出て商店が立ち並ぶ場所へ歩いて行くと、多くの人々が行き交い、広い通りには車までチラホラ走っている。
絢音は華やかな賑わいに目を奪われ、キョロキョロしながら歩いたが、そうするうちに酒場が立ち並ぶ繁華街へやって来た。
すると温泉街と同じように、派手な化粧をした女が所々に立っている。
ただ、行き交う男達は温泉場の炭鉱夫とは違い、見るからに垢抜けた風貌をしていた。
絢音は洒落た出で立ちをした男につい目を奪われていたが、男は女に誘われるままにフラフラと店の中へ入って行く。
そこは……結局同じなんだと思った。
それから、温泉街は店の軒先に提灯をぶら下げてあるが、ここはカラフルなネオンだ。
怪しく光るネオンを珍しそうに見ながら、辰の脇について歩いた。
暫くすると辰は足を止め、古びた扉の前に立った。
絢音はそのまま中に入るのかと思ったが、辰は振り返って小声で念を押した。
「いいか、名前で呼ぶんじゃねぇ、父さんだ、分かったな?」
「はい」