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縁
第8章 クズの純情
─────
親分の屋敷を出て繁華街を歩いていると、向かい側からいかにも柄の悪そうな男が声をかけてきた。
「おい、辰じゃねぇか!」
男は辰を見た途端、笑顔で辰の方へ走ってきた。
派手なシャツを着た人相の悪い男だ。
絢音は咄嗟に辰の上着を掴み、傍に寄り添った。
「おう、ヤスか、元気そうだな」
辰は親しげに言葉を返し、2人は知り合いだと分かった。
「んん、女……?辰……それはお前の女か?にしちゃ、ちょいと若すぎるな」
ヤスは絢音を見て首を傾げている。
「俺の娘だ」
辰はおくびにも出さずに堂々と言った。
「娘ぇ~、こいつ~いつの間に仕込みやがった、いや、だとしてもだな、何故子連れなんだ、おかしいじゃねぇか」
ヤスは娘だという事は信じたが、辰は娘を連れ歩くような柄じゃない。
ニヤケ顔で聞いた。
「あのな、てめぇの娘を連れ歩いて、なにがおかしいんだ?」
辰はしれっと聞き返した。
「いやまあ~そうだが………、なら女房はどうした」
ヤスも親分と同じように嫁の事を口にする。
「死んだ、それで引き取ったんだ」
辰は親分に言った嘘を貫く事にした。
親分の屋敷を出て繁華街を歩いていると、向かい側からいかにも柄の悪そうな男が声をかけてきた。
「おい、辰じゃねぇか!」
男は辰を見た途端、笑顔で辰の方へ走ってきた。
派手なシャツを着た人相の悪い男だ。
絢音は咄嗟に辰の上着を掴み、傍に寄り添った。
「おう、ヤスか、元気そうだな」
辰は親しげに言葉を返し、2人は知り合いだと分かった。
「んん、女……?辰……それはお前の女か?にしちゃ、ちょいと若すぎるな」
ヤスは絢音を見て首を傾げている。
「俺の娘だ」
辰はおくびにも出さずに堂々と言った。
「娘ぇ~、こいつ~いつの間に仕込みやがった、いや、だとしてもだな、何故子連れなんだ、おかしいじゃねぇか」
ヤスは娘だという事は信じたが、辰は娘を連れ歩くような柄じゃない。
ニヤケ顔で聞いた。
「あのな、てめぇの娘を連れ歩いて、なにがおかしいんだ?」
辰はしれっと聞き返した。
「いやまあ~そうだが………、なら女房はどうした」
ヤスも親分と同じように嫁の事を口にする。
「死んだ、それで引き取ったんだ」
辰は親分に言った嘘を貫く事にした。