この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
縁
第8章 クズの純情
そして、言った通りに好き勝手にやってきたが、絢音がそれを見てどう思っていたのか、今頃になって気になってきた。
「さすがのお前も、娘の前じゃ形無しだな、ははっ」
ヤスは笑って言った。
「ああ……」
辰は頷きながら、これからは女を部屋に連れ込むのはやめようと、こっそりそう思っていた。
─────
一夜明けた翌日、辰は出かけなければならないが、絢音をひとりで留守番させるのは心配だった。
そこで、親分のところに預ける事にした。
ヤスの目を盗んで絢音に話しかけ、親子で通すようにと念を押し、親分の屋敷に連れて行った。
恐縮しながら話を切り出すと、親分は快く引き受けてくれた。
辰は深く頭を下げて礼を言い、ヤスと共に親分の屋敷を後にした。
絢音は去りゆく辰を見送ったが、辰の姿が見えなくなっても、その場に立ちすくんでいた。
「絢音ちゃん、お父さんの事が心配なの?」
親分の奥さん、つまり姐さんだが、姐さんが屈み込んで絢音に話しかけた。
「はい……」
絢音はコクリと頷いたが、姐さんが言った通り、心配で堪らなかった。
辰は長屋を出る前に、サラシにドスを差していた。
銀次という流れ者を殺るつもりなのは、絢音ももう分かっている。
「さすがのお前も、娘の前じゃ形無しだな、ははっ」
ヤスは笑って言った。
「ああ……」
辰は頷きながら、これからは女を部屋に連れ込むのはやめようと、こっそりそう思っていた。
─────
一夜明けた翌日、辰は出かけなければならないが、絢音をひとりで留守番させるのは心配だった。
そこで、親分のところに預ける事にした。
ヤスの目を盗んで絢音に話しかけ、親子で通すようにと念を押し、親分の屋敷に連れて行った。
恐縮しながら話を切り出すと、親分は快く引き受けてくれた。
辰は深く頭を下げて礼を言い、ヤスと共に親分の屋敷を後にした。
絢音は去りゆく辰を見送ったが、辰の姿が見えなくなっても、その場に立ちすくんでいた。
「絢音ちゃん、お父さんの事が心配なの?」
親分の奥さん、つまり姐さんだが、姐さんが屈み込んで絢音に話しかけた。
「はい……」
絢音はコクリと頷いたが、姐さんが言った通り、心配で堪らなかった。
辰は長屋を出る前に、サラシにドスを差していた。
銀次という流れ者を殺るつもりなのは、絢音ももう分かっている。