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第8章 クズの純情

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絢音が親分宅にいる間、辰は三日三晩、仲間5人と銀次を探し回っていた。

街へ来て五日目の今日、ドブ川沿いを歩いていた時に川の向かい側にある長屋から、ほっかむりをした男が出てきた。
5人が何気なく目を向けると、男はオドオドして突然走り出した。

こういう場合、間違いなく追いかける。
男はあっさり捕まり、5人は『何故逃げた』『薮川の者か』と口々に問い詰めた。
男は『勘弁してくれ、俺はただの使いっぱしりだ』そう言って小刻みに体を震わせている。
間違いなく、薮川組の息がかかった人間だ。
辰は銀次の居場所を言えと迫ったが、男は『勘弁してくれ』と繰り返すばかりで埒が明かない。
ヤスがドスを出して脅し、男の目の前にちらつかせ『言わねぇと、耳を片方失う事になるぜ』と言った。
男は泣きそうな面をして『わかった……、言う!』と叫び、半泣きになりながら銀次の居場所を吐いた。
男を押さえつける仲間が男を突き放し、5人は男から聞いた銀次の潜伏先へ向かった。

10数分かけて、遊廓が立ち並ぶ界隈へやって来た。
通りの両側には、古びた二階建ての建物が連なっている。
一階は見世になっていて遊女の姿がチラホラ見える。
ただ、まだ昼過ぎという事もあるのか、遊女は5人をチラッと見ると、呑気にタバコを吹かしている。
5人は『玉井屋』に押し入った。
店番をする男が慌てて止めたが、辰がドスを手にして怒鳴ると、肝を冷やして後退りした。
店に上がり込み、1階の部屋を順に調べた。
襖を開けて中を見回せば、誰もいない部屋が殆どだったが、1番奥の部屋には客が入っていた。
客は布団の中で遊女とお楽しみの最中だった為、いきなり押し入った5人を見て驚き、次に、見るからに物騒な風貌を見て縮み上がった。








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