この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
第8章 クズの純情

「俺はただ金目当てに殺ったまでだ、お前らに恨みはねぇ」

銀次はそのまま本音を暴露した。

「なら、何故リンチにかけた」

しかし、辰は仲間が惨い殺され方をした事が許せなかった。

「ふっ、ちょっとした出来心だ、俺はよー、苦しむ面を見たら興奮するんだ」

銀次はニヤついた顔で余計な事まで暴露した。

「ふざけた事を抜かすな、死んで貰う」

辰はドスを手に一歩前に出た。

「ちょっと待て!そう焦るな、いいドスを持ってるじゃねぇか、まるで脇差しだ」

銀次は焦り、ドスを褒めて待ったをかける。

「ごちゃごちゃうるせぇんだよ!死ねー」

ヤスがカッとなってドスを振りかざしたが、銀次は盃を放り投げて手を後ろへ回した。

「待ちな!兄さんよ、短気はいけねぇな、お前さんのせいで……遊廓の花がひとつ散る事になるぜ」

大声で言って手を前に出したが、手にはドスが握られていて、抱き寄せた遊女にドスの切っ先を向ける。

「うぅっ」

遊女は腕で首を締められて苦しげに呻いている。

「なあ桔梗……まだ死にたくねぇよな?」

銀次は呻く遊女に向かって優しげに話しかける。

「うっ、死にたく……ない、やめて!」

首にひんやりとした刃が触れ、遊女は悲痛な表情で口走った。

「この野郎、女を離せ! お前は腕っぷしがつえーんだろ?卑怯な真似をするな」

辰は腹が立って怒鳴ったが、今切りかかったら銀次は桔梗を殺すだろう。

「卑怯も糞もねぇ、なあ桔梗、お前は本当に可愛い女だ」

銀次はスーッと刃を滑らせ、白い肌に薄らと血が滲んだ。

「ひいっ!やだーお願いやめて、殺さないで」

桔梗は悲鳴をあげ、恐怖で顔をひきつらせて懇願する。

「やめねぇか、この下衆が!」

辰はカッとなって怒鳴ったが、銀次は女を強引に引っ張り上げて立ち上がった。

「辰よ、俺は退散する、お前らの争いにゃうんざりだ、この女は連れて行く、俺がここを出て、見えなくなるまで動くな、さもなくば……女は殺す」

銀次は自分が見捨てられた事を知っている。
組同士の諍いの犠牲になるのはごめんだった。
たとえ卑怯でも、女を盾にして逃げおおすつもりだ。

「退け!」

5人に向かって怒鳴り、廊下に向けて歩き出した。

「くっ……野郎」

/158ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ