この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
第8章 クズの純情
「どうしても行くのか?」

「ああ」

「そうか……、残念だが、親子でのんびり過ごしてぇだろうし、わかったよ」

ヤスは理解を示し、引き止めるのを諦めた。


別れを惜しむヤスに見送られ、辰は絢音を連れて歩き出した。

まず昼を食べる為にめぼしい所を探したが、安っぽい食堂じゃ温泉街と変わらない。
ちょうど飲食店が立ち並ぶ通りを歩いていたが、辰は通りすがりに一軒の洋食屋に入った。

絢音は辰の後ろについて店内に入り、隅のテーブル席に座ったが、ピカピカに磨かれたテーブルには真っ白なレースのテーブルクロス、テーブルの真ん中には花が飾ってある。
綺麗に折られた紙ナプキンの上に、ナイフ、フォーク、スプーンが置いてあったが、絢音はちょっとドキドキして、緊張しながら辰と向かい合っていた。

「なんでも好きなもんを食え、ほら、メニューだ」

辰はわきに立てかけられたメニューを取ると、絢音の前に差し出した。
絢音は恐る恐るメニューを開いてみたが……何がどんな料理なのか分からない。

「辰さん、私……わからない」

助けを求めるように聞いた。

「ははっ、そんなに畏まるこたぁねぇよ、そんじゃあな、オムライスうめぇぞ、食ってみな」

辰は緊張した様子で椅子に座る絢音を見て、緊張を解きほぐすように笑顔で言った。

「あ、はい……、じゃあそれで」

絢音はすんなり頷いたが、分からないのだから頷くしかない。
辰は店の者に声をかけ、オムライスとポークカツを頼んだ。
この洋食屋は、街にいる時にたまに立ち寄っていた。
だから辰は慣れているが、絢音はこんな洒落た店に来るのは初めてだった。
というよりも、父親と暮らしていた時は洒落た店どころか、店に行く機会すらなく、唯一行くのが酒屋……。



/158ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ