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第8章 クズの純情
辰は浴衣をはだいて胸を晒した。
青い果実のような膨らみを興奮気味に頬張ると、絢音は生々しい感触にピクリと体を震わせた。

「う……」

辰は小さな呻き声を聞いてハッとなった。
あれだけ我慢してきたのに、ここでやってしまったら……自らが決めた掟を破る事になる。
暴走する欲望を全力で薙ぎ払った。

「っ、くう~、コノヤロー!」

ガバッと起き上がると、股間を握って叫んだ。

「た、辰さん……」

絢音は唖然として辰を見上げた。

「俺はいっつもこうなっちまう、このナニが悪ぃんだ、こいつがすぐにおっ勃つせいで、すぐにやりたくなっちまう、こいつ~、おとなしくしろ!」

辰はナニに向かって怒っている。

「ぷっ……、やだ、あははっ」

絢音は可笑しくて吹き出した。
起き上がり、はだかれた浴衣を直して座ったら、辰も胡座をかいて座った。

「ふう~、全く……、俺を困らせるな」

ため息混じりにぼやいたが、本当は自分を責めていた。

「ごめんなさい」

絢音はちょっとやり過ぎたと思い、頭を下げて謝った。

「いや、いい……」

辰は罰が悪そうに返事を返した。

「でも、私……やっぱり傍にいたい」

絢音はまた困らせるかもしれないと思ったが、辰に寄り添っていたかった。

「あ……、あのな~」

腕に縋り付くと辰は苦笑いを浮かべたが、さっきの事がクッションの役割を果たし、今度は落ち着いた気持ちでいられた。

「私……、嫌じゃない、嬉しかった」

絢音は辰に女として認められた事が嬉しかった。

「そんなに……嬉しいのか?」

自分なんかにあんな事をされて何が嬉しいのか、辰は不思議に思って首をかしげた。

「はい、好きだから……」

絢音は自分の気持ちを素直に口にする。
もしまた辰が女を連れ込んだら、その時はまた嫉妬するだろう。
けど、それで幻滅して嫌いになる事はない。
辰は自分を守ってくれる唯一無二の存在だからだ。








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